デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

円形脱毛症のデュピルマブ、IgE値で効果に差

 円形脱毛症患者60例(アトピー性皮膚炎併発の有無を問わず)を対象に、デュピルマブの有効性を第IIa相無作為化臨床試験で検討。主要評価項目は、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアの治療前から24週時までの変化量とした。

 その結果、SALTスコアの最小二乗平均変化量は、プラセボ群-6.5、デュピルマブ群2.2だった(P<0.05)。デュピルマブによる48週間の治療後のSALT30(スコア30%以上改善)達成率は32.5%、SALT50達成率は22.5%、SALT75達成率は15%だったが、治療前のIgE値が200IU/mL以上の患者ではそれぞれ53.8%、46.2%、38.5%となった。治療前のIgE値による治療効果の予測精度は83%だった。新たな安全性の懸念事項はなかった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

アゾール系抗真菌薬「イサブコナゾニウム硫酸塩」を承認申請 旭化成ファーマ、カプセル剤、点滴静注剤の2種類を申請

 旭化成ファーマは30日、アゾール系抗真菌薬「イサブコナゾニウム硫酸塩」について、真菌症(アスペルギルス症、ムーコル症、クリプトコックス症)の治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請したと発表した。カプセル剤、点滴静注剤の2種類を申請した。スイス系製薬バジリア・ファーマシューティカが創製し、2016年に旭化成ファーマが日本で独占的に開発・販売する権利を取得し、国内治験を行った。北米ではアステラス製薬が販売している。

 

ファイザー アブロシチニブ(サイバインコⓇ)承認

このたび、弊社のヤヌスキナーゼ阻害剤「サイバインコ錠」(一般名:アブロシチニブ)の製造販売承認を
「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を適応症として取得いたしましたのでご報告申し上げます。

 

現時点では2週間の処方制限があるので、処方制限が解除されてから実際に使われる症例が増えそうですね。

 

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デルゴシチニブ軟膏、小児ADへの有効性と安全性を確認

 昨年、世界で初めてわが国で承認された、アトピー性皮膚炎(AD)に対する外用JAK阻害薬デルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム軟膏)について、東京慈恵会医科大学名誉教授の中川 秀己氏らが小児(2~15歳)に対する有効性と安全性を評価した56週の第III相無作為化二重盲検基剤対照試験の結果が、Journal of the American Academy of Dermatology誌2021年10月号で報告された。

 56週にわたり塗布群は有意な改善を示し、忍容性は良好であったという。上市されたデルゴシチニブ0.5%軟膏の適応対象は、当初16歳以上の成人であったが、本年5月に小児への適応拡大が承認されている。

 小児ADに対するデルゴシチニブ軟膏の有効性と安全性を評価する試験は、2つのパート構成で行われた。パート1は、4週間の二重盲検無作為化試験で、2~15歳の日本人AD患者を1対1の割合で無作為にデルゴシチニブ0.25%軟膏群または基剤群に割り付け、追跡評価した。パート2は、52週間の非盲検延長試験で、適格患者(パート1試験完了者と、パート1試験中にAD増悪のため早期にパート2試験に組み込まれた患者)はデルゴシチニブ0.25%軟膏またはデルゴシチニブ0.5%軟膏を投与された。

 主な結果は以下のとおり。

・パート1試験では、137例が無作為化を受けた(平均年齢8.3歳、男子51.1%、平均罹患期間6.0年)。試験を完了したのは、デルゴシチニブ0.25%軟膏群が62/69例(89.9%)、基剤群が48/68例(70.6%)であり、パート2試験への早期組み込み被験者はそれぞれ7例(10.1%)、19例(27.9%)であった。
・パート2試験の被験者は計135例で、118例(87.4%)が試験を完了した。
・パート1試験の開始時点で、約半数の患者(54.7%)が中等症AD(IGAスコア3)、21.9%が重症AD(IGAスコア4)であった。
・パート1試験終了時の主要有効性エンドポイント(修正Eczema Area and Severity Index[mEASI]スコアのベースラインからの最小二乗平均変化率)は、デルゴシチニブ0.25%軟膏群(-39.3%)が基剤群(+10.9%)よりも有意に低下した(p<0.001)。
・パート2試験でも、56週間にわたってmEASI、IGAおよびかゆみのスコアの改善が認められた。
・パート1および2試験を通して、デルゴシチニブ軟膏塗布患者115/134例(85.8%)で有害事象が報告されたが、大半はデルゴシチニブ軟膏による治療とは無関係とみられ、関連していたのは13例(9.7%)ですべて軽度であった。重篤有害事象の報告例はなかった。
・本試験の対象患者は日本人のみであり、パート2試験で対照群が設定されておらず、レスキュー治療が許容されていた点において結果は限定的である。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

コセンティクス 小児乾癬への承認取得

9月27日(月)に、コセンティクス(一般名:セクキヌマブ)が新たに「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬」において6歳以上の小児に対する用法及び用量に関して、追加承認を取得致しました。

「体重50kg未満の患者には1回75㎎を、体重50kg以上の患者には1回150㎎を、初回、1週後、2週後、3週後、4週後に皮下投与し、以降、4週間の間隔で皮下投与する。
なお、体重50kg以上の患者では、状態に応じて1回300㎎を投与することができる。

75mg製剤自体がまだ本邦では発売をしておりませんので現段階では対象は50kg以上の小児の患者様限定になります。


乾癬治療薬スキリージ 150mg製剤とペン型製剤の承認取得 アッヴィ

 アッヴィ合同会社は9月22日、ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤・スキリージ(一般名:リサンキズマブ(遺伝子組換え))ついて、150mg/mLプレフィルドシリンジとペン型製剤の承認を取得した。これまでは75mgのシリンジ製剤のみで、治療時に、2回投与する必要があった。今回、150mg製剤単回投与が選択肢として加わり、投与回数の半減により、患者の負担軽減と利便性向上につながることが期待されている。

同社は本誌取材に、「11月の薬価収載後、速やかに発売する予定」とコメントした。

 同剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を効能・効果として承認されている。用法・用量は通常1回150mgを0週時、4週時、以降12週間隔で投与して用いる。このため、これまでは1回の投与で75mg製剤を2回投与する必要があった。

 今回150mgのペン型製剤の承認も取得した。幅の広いグリップハンドルと、投薬プロセスを音と表示で知らせる機能が備わっている。スキリージは、在宅自己注射は認められておらず、医療機関で投与する。同社は、ペン型製剤の投入により、医療従事者の利便性向上につながることが期待されるとしている。

  

神経線維腫症I型の良性腫瘍、血液検査でがん化が分かる Cancer Currents――米国立がん研究所(NCI)ブログ

 神経線維腫症I型(NF1)と呼ばれる遺伝性疾患では、神経に沿って成長する非がん性(良性)の腫瘍が高頻度に発現する。この腫瘍は進行性のがんに変化することがあるが、これまでがん化したかどうかを判断する方法がなかった。

 米国国立衛生研究所(NIH)の研究機関、米国国立がん研究所(NCI)のがん研究センターおよびワシントン大学医学部(セントルイス)の研究者らは、神経線維腫症I型患者のがんを早期に発見する高感度で安価な手段となる血液検査法を開発した。また、この血液検査法は、医師ががん治療の効果を判断するのに役立つ可能性もある。

 この結果は、8月31日付けでPLOS Medicine誌に掲載された。

 神経線維腫症神経線維腫症I型は、最もよくみられるがん易罹患性の症候群であり、全世界で3000人に1人に発症するとされる。NF1遺伝子の変異によって生じる疾患で、ほとんどの場合は小児期に診断される。神経線維腫症I型を持つ人の約半数に、神経に沿った大きいが良性の腫瘍(神経線維腫)が発現する。

 神経線維腫患者の最大15%で、この良性の腫瘍が、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)と呼ばれる進行性のがんに変化する。MPNSTは転移が早く、薬物療法放射線療法双方に耐性を生じることが多いため、予後は不良である。MPNSTと診断された患者の80%が5年以内に死亡する。

 「神経線維腫症I型のようながん易罹患性症候群とともに人生を送ることを想像してみてください。まるで時限爆弾を抱えているようなものです」と、この研究の共著者で、NCIの小児腫瘍部門のラスカー臨床研究員(Lasker Clinical Research Scholar)、Jack F. Shern氏は言う。「医師も患者もがん性腫瘍に常に目を光らせることになりますが、がん化した場合はいち早く発見したいと思うでしょう」。

 現在、神経線維腫がMPNSTに悪性転化したかどうかを判断するには、画像診断(MRIやPETスキャン)または生検を用いる。しかし、生検の結果は常に正確とは限らず、また腫瘍が神経に沿って成長するので、生検は患者に苦痛を与えかねない。一方、画像診断は高額な上、不正確な場合もある。

 「今われわれに必要なのは、増大した良性の神経線維腫がMPNSTに変化しつつあることを見極めるツールです」とShern氏は言う。「そこでわれわれは、全身MRIや高価なPET検査の代わりに、採血管1本分の血液を採取するだけでMPNST発現の有無が分かる簡単な血液検査法を開発できないだろうかと考えたのです」

 この目標に向けて、Shern氏と、研究の共同研究者、ワシントン大学医学部のAadel A. Chaudhuri医学博士、Angela C. Hirbe医学博士らは、良性の神経線維腫を有する患者23例、未治療のMPNST患者14例および神経線維腫症I型がない健康被験者16例から血液献体を採取した。参加者のほとんどが、MPNSTが最もよく発現する年齢層の思春期および若年成人期だった。研究者らは、血液サンプルから血中遊離DNA(細胞から血液中に放出されるDNA)を分離し、全ゲノム配列解析技術を用いて3群間で遺伝物質の相違を調べた。

 MPNST患者の血中遊離DNAには、他の2群のDNAとは異なる特徴が幾つか認められた。例えば、MPNST患者の血中遊離DNAの断片は、神経線維腫患者群および神経線維腫症I型がない健康な群の血中遊離DNAよりも短かった。さらに、血液サンプル中の、腫瘍から漏出した血中遊離DNAの割合(「血漿中の腫瘍由来DNA比率(plasma tumor fraction)」)は、MPNST患者群で神経線維腫患者よりもはるかに高かった。この相違により、研究者らは、神経線維腫患者とMPNST患者を86%の精度で区別することができた。

 また、MPNST患者で、血漿中の腫瘍由来DNA比率が治療の効果と一致していた。言い換えれば、治療後に血漿中の腫瘍由来DNA比率が減少すると、画像診断で測定した腫瘍の大きさや数も減少するということである。また、血漿中の腫瘍由来DNA比率の増加に転移性再発との関連があった。

 「薬物療法で患者を治療する場合を考えてみてください。この血液検査法を用いれば、がんが小さくなっているのか、完全に消えてしまったのかが簡単で素早く判断できるようになるかもしれないのです」とShern氏。「手術でMPNSTを切除し血液検査も陰性だった場合、その後再発するかどうかの経過を観察するために、この血液検査法を利用できるかもしれません」

 Shern氏は、研究の限界に、大規模病院2施設の神経線維腫症I型患者を対象としたが、症例数が少ないことを挙げる。研究者らは、さらに多くの患者を対象とした試験を計画中である。研究チームの目標は、この血液検査法の精度を86%から100%に近づけることだとShern氏は言う。その方法の一つに、遺伝子解析を改良し、MPNSTへの関与が知られている遺伝子に焦点を当てることが考えられる。

 神経線維腫症I型患者のMPNSTを早期に発見するための簡単で安価な血液検査法は、画像診断に必要な機器や専門家へのアクセスが十分でない、発展途上国や資源の乏しい地域で特に有用であるとShern氏は言う。

 また、この種の血液検査法は、良性腫瘍ががん化する多発性内分泌腫瘍症や、複数の種類のがんを発症するリスクの高いリ・フラウメニ症候群など、がんに罹患しやすい他の遺伝性疾患患者の早期発見や経過観察にも応用できる。

 「リスクのある人々を簡単な血液検査でスクリーニングすることができるこの技術を大いに活用すべきです」とShern氏。「検査で異常が見つかったら、腫瘍を見つけるための検査をすればよいのです」。

 この研究は、NCIおよび(NIH)の研究機関、National Institute of General Medical Sciencesの学内研究プログラムの支援を受けて実施された。

※参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

www.cancer.gov