デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

乾癬性関節炎にメトトレキサート+レフルノミド併用が有効

活動性疾患がある(腫脹関節数2関節以上と定義)乾癬性関節炎(PsA)患者78例を対象に、メトトレキサートレフルノミドの併用療法による疾患活動性改善効果を二重盲検無作為化プラセボ対照試験で検討(COMPLETE-PsA試験)。主要評価項目は、試験開始前の乾癬性関節炎疾患活動性スコア(PASDAS)で調整したメトトレキサート単剤群とメトトレキサート+レフルノミド併用群の16週時点の平均PASDASの点差をとした。

 その結果、16週時点で併用療法の単剤療法に対する優越性が示された(PASDAS:3.1点 vs. 3.7点、治療差-0.6点、90%CI -1.0--0.1、P=0.025)。頻度の高い有害事象に悪心または嘔吐(併用群44% vs. 単剤群28%)、疲労(同23% vs. 33%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(同31% vs. 18%)があった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

米国小児の円形脱毛症有病率は0.11%

 米国で電子健康記録データを用いた小児円形脱毛症(AA)の有病率と罹患率を調べた結果、2009~20年の有病率は0.11%、罹患率は10万人年当たり13.6例であることが明らかにされた。米国・フィラデルフィア小児病院のPaige L. McKenzie氏らによるコホート研究の結果で、「有病率は過去10年間で2倍になっていた。また、AAの診断を受ける可能性が2~3倍高いリスクを有する人口統計学的サブグループとして、アジア系およびヒスパニックの子供が特定された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年4月6日号掲載の報告。

 研究グループは、米国の小児集団における小児AAの有病率および罹患率を時間経過、性別、年齢、人種/民族、地理的領域別に調べるため、5つの小児病院の協力を得て多施設共同コホート研究を行った。標準化された電子健康記録(PEDSnet database、version 4.0)からデータを集め(2009年1月~2020年11月)、小児AAの有病率と罹患率を調べた。

 試験コホートには、AA診断コードが記録されている間に少なくとも2回医師の診察を受けていた、またはAAが記録され1回の皮膚科専門医の診察を受けていた18歳未満の患者が含まれた。

 主要評価項目は有病率(患者母集団540万9,919例)、罹患率(同289万6,241例)。AAコホートに包含する5,801例の子供を特定し、2,398例(41.3%)が12ヵ月超のフォローアップを受け、罹患率の解析に包含された。

 主な結果は以下のとおり。

・AAコホート5,801例の平均年齢は9.0(SD 4.5)歳、3,259例(56.2%)は女子で、359例(6.2%)がアジア系、1,094例(18.9%)が黒人種、1,348例(23.2%)がヒスパニック系、2,362例(40.7%)が白人種であった。
・全体の小児AA有病率は、0.11%であった。PEDSnet全集団と比べてAAコホートの小児は、年長者、女子、少数人種/民族集団の子供が多かった。
・2009~20年の11年全罹患率は、13.6例/10万人年(95%信頼区間[CI]:13.1~14.2)であった。
・年齢別に見た罹患率正規分布が示され、ピークは6歳時に見られた。
罹患率は、男子よりも女子で22.8%高かった(10万人年当たり女子15.1例vs.男子12.3例)。さらにヒスパニック系の子供たちが最も高率だった(10万人年当たり31.5例)。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

カロリー制限ダイエット、摂食時間制限ありvs.なし/NEJM

 肥満患者において、摂食時間を午前8時~午後4時の8時間に制限する時間制限食をカロリー制限に追加しても、1日の摂取カロリー制限と比較し、1年間の体重、体脂肪および代謝リスク因子の減少に関して効果は認められないことが示された。中国・南方医科大学のDeying Liu氏らが無作為化臨床試験の結果を報告した。これまで、体重減少における時間制限食の長期的な有効性および安全性は明らかにされていなかった。NEJM誌2022年4月21日号掲載の報告。

摂取カロリー約75%+摂食時間午前8時~午後4時に制限

 研究グループは、肥満患者139例を、1日の摂取カロリー制限に加えて摂食時間を午前8時~午後4時の間のみに制限する群(時間制限併用群)と、1日の摂取カロリー制限のみを行う群(カロリー制限群)に、無作為に割り付け、12ヵ月間観察した。

 摂取カロリーは、参加者全員、男性で1日1,500~1,800kcal、女性で1日1,200~1,500kcalに制限した。いずれも摂取カロリーの40~55%が炭水化物、15~20%がタンパク質、20~30%が脂質とし、この食事療法はベースラインの参加者の1日摂取カロリーの約75%に相当した。

 主要評価項目は、体重のベースラインからの変化における群間差、副次評価項目はウエスト、BMI、体脂肪および代謝リスク因子(血漿グルコース濃度、インスリン感受性、血清脂質、および血圧)等の測定値の変化とした。

1年後の体重減少に差はなし

 無作為化された139例中118例(84.9%)が12ヵ月間の介入を完遂した。

 12ヵ月時の体重のベースラインからの平均変化量は、時間制限併用群で-8.0kg(95%信頼区間[CI]:-9.6~-6.4)、カロリー制限群で-6.3kg(-7.8~-4.7)であり、体重の変化量に両群で有意差はなかった(群間差:-1.8kg、95%CI:-4.0~0.4、p=0.11)。

 ウエスト、BMI、体脂肪、除脂肪体重、血圧および代謝リスク因子の解析結果も、主要評価項目の結果と一致した。

 主な有害事象は、疲労、めまい、頭痛、食欲減退、上腹部痛などで、発現頻度は両群で同程度であった。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

空腹時間を作ることが有効である可能性がいわれていましたが、

残念ながら大事なのは総摂取㌍のようです。

 

高齢者への帯状疱疹ワクチン2製剤の有効性 生ワクチンZVLと乾燥組み換えワクチンRZVのメタ解析

 50歳以上の成人に対する帯状疱疹ワクチンの有効性について、ニュージーランド・Victoria University of WellingtonのJames F.Mbinta氏らは、実臨床で生ワクチン(商品名Zostavax、以下、ZVL)または乾燥組み換えワクチンのシングリックス(以下、RZV)と各ワクチン非接種例を比較したシステマチックレビューおよびメタ解析の結果をLancet Healthy Longev(2022; 3: e263-e275)に発表した。観察研究22件・953万例超を定量分析に含め、13件を対象にメタ解析を行った結果、ZVLは帯状疱疹の発症を45.9%抑制し、帯状疱疹後神経痛(PHN)の予防に有効であることが示された。また2020年12月以降に発表された観察研究2件の事後解析では、RZVの帯状疱疹に対するプールした有効性は79.2%と推定された(関連記事「帯状疱疹予防ワクチン2剤の特徴は?」)。

20~40歳代でも増加傾向にある帯状疱疹

 帯状疱疹は、生涯のうち3人に1人が罹患するリスクとされ、患者の3分の2を50歳以上が占める。帯状疱疹による10万・年当たり入院率は2~25で、85歳以上では65に上昇する。一方、日本国内の罹患率は高齢者だけでなく、20~40歳代も上昇傾向にあるとされる(関連記事「帯状疱疹ワクチン:高齢社会での戦略」)。

 今回のシステマチックレビューとメタ解析では、ZVLが承認された2006年5月~20年12月にMEDLINE、EMBASE Cochrane Libraryなどに掲載された研究に加えて、未発表研究や灰色文献も検索した。適格基準は、50歳以上を対象に承認された帯状疱疹ワクチン(ZVLおよびRZV)の有効性を、ワクチン非接種または他のワクチンと比較したコホート研究および症例対照研究とした。

 変量効果メタ解析モデルを使用し、主要評価項目(帯状疱疹、PHN、眼部帯状疱疹の複合)に対するプールしたワクチンの有効性を推定した。事後解析として2021年1月に追加の文献検索を行った。

帯状疱疹後神経痛に対するZVLの有効性は59.7%

 抽出した研究1,240件をスクリーニング後、適格基準を満たした22件(英米、カナダ、スウェーデンで実施されたコホート研究21件と症例対照研究1件)・953万6,086例を定量分析の対象とし、Cox比例ハザードモデルを用いていない9件を除く13件をメタ解析の対象とした。研究期間は15~198カ月だった。

 主要評価項目におけるエビデンスの質は全体的に極めて低かった。コホート研究7件のメタ解析の結果、ZVLの帯状疱疹の予防に対する有効性が示された(ワクチンの有効性45.9%、95%CI 42.2~49.4%)。また、コホート研究3件のメタ解析の結果、ZVLのPHNに対する有効性は59.7%(同48.3~68.7%)と推定された。

 眼部帯状疱疹に対しては、変量効果モデルによるコホート研究2件のメタ解析の結果、ZVLの有意な有効性は示されなかったが、固定効果モデルでは有効性は30%(95%CI 20.5~38.4)と推定された。

糖尿病などの併存疾患有例にも有効

 ZVLの有効性は、60~69歳で最も高い50.9% (同45.0~56.1%)で、80歳以上で最も低い43.9%(同37.7~49.5%)だった。また、接種後1年目の有効性は60.0%(95%CI 13.6 ~77.6)だったが、接種後6年目には50.8%(同11.4~72.9%)に低下した。

 併存疾患を有する例でもZVLの接種は帯状疱疹の予防に効果的だった。有効性は糖尿病で49.8%(95%CI 45.1~54.1%、研究数3件)、慢性腎臓病で54.3%(同49.0~59.1%、4件)、肝疾患で52.9%(同41.6~62.1%、2件)、心疾患で52.3% (同45.0~58.7%、2件)、肺疾患で49.0%(32.2~66.2%、2件)に上った。ただし、メタ解析の50%で高い異質性(I2≧75%)が観察された。

RZVの有効性および長期的な保護効果の評価を

 事後解析では、2020年12月以降にRZVを評価した米国のコホート研究2件を変量効果メタ解析モデルにより検討。その結果、50歳以上の帯状疱疹に対するRZVの有効性は79.2%(95%CI 57.6~89.7)と推定された。

 以上の結果から、Mbinta氏らは「実臨床において、ZVLは50歳以上の成人の帯状疱疹、眼部帯状疱疹およびPHNを効果的に予防し、RZVは帯状疱疹リスクを低減することが示された。ただし、全ての結果についてエビデンスの質は低かったと結論付けた。

 今回の研究の意義について、同氏らは「一般的にワクチンは医学生理学的に不均一な集団に接種され、医療環境に影響される。われわれの結果には臨床試験エビデンスを補完するための実臨床データも含まれているため、日常臨床に一般化できる」と指摘した上で、「帯状疱疹、眼部帯状疱疹、PHN(免疫機能が正常および免疫機能不全の場合)に対するRZVの有効性および長期的な保護効果を評価するには、十分な検出力を持つ観察研究が必要である」と付言している。

 

ビメキズマブ(ビンゼレックス®)発売のお知らせ

2022年4月20日、『ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ、ビンゼレックス皮下注160mgオートインジェクター
が発売となりました。
【収載薬価】
ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ:156,587
ビンゼレックス皮下注160mgオートインジェクター156,820
 
乾癬に対してはさらに治療選択肢が増えますね。
 

スペソリマブ、膿疱性乾癬(汎発型)P2試験追加データを発表 独ベーリンガー、研究成果は、2022年米国皮膚科学会(AAD)年次総会で発表

開発中の急性期GPP治療薬で、IL-36を阻害するヒト化抗体

 独ベーリンガーインゲルハイムは3月28日、急性期の膿疱性乾癬(汎発型)(Generalized Pustular Psoriasis:GPP)患者に対するスペソリマブの第2相臨床試験であるEffisayil(TM) 1試験の新たなデータを発表した。研究成果は、2022年米国皮膚科学会(AAD)年次総会で発表された。

 GPPは、希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは区別される。GPPの急性期症状は、クオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、心不全腎不全敗血症などの生命にかかわる重篤な合併症を引き起こす可能性がある。

 スペソリマブは、GPPを含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連する免疫系のシグナル伝達経路インターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体。検出力のある無作為化プラセボ対照試験で、急性期GPPの治療として評価されたIL-36経路を特異的に標的とするファーストインクラスの化合物である。急性期GPPの発生を予防する維持療法薬として、また、掌蹠膿疱症(PPP)や化膿性汗腺炎(HS)などの他の好中球性皮膚疾患の治療薬としても研究が進められている。

 スペソリマブはこれまでに、急性期GPPの治療薬として、米国、中国、台湾においてブレークスルーセラピーに指定されている。欧州医薬品庁(EMA)は、2021年10月にGPPにおけるスペソリマブの販売承認申請を受領し、現在、審査中だ。

1週目時点の膿疱なし達成割合、プラセボ群6%、スペソリマブ群54%

 Effisayil 1(NCT03782792)試験は、12週間にわたり、急性期GPP患者(N=53)をスペソリマブ900mgの静脈内投与群またはプラセボ群のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けて評価した第2相臨床試験。主要評価項目は、1週目の時点でGPP Physician Global Assessment(GPPGA)膿疱サブスコアが0であること(膿疱が見られないこと)。主な副次的評価項目は、1週目の時点でGPPGAスコアが0または1であること(皮膚症状が消失またはほぼ消失)だった。

 1週目の時点で、膿疱なし(GPPGA膿疱サブスコアが0)を達成した患者の割合は、プラセボ群の6%に対し、スペソリマブ群で54%。さらに、1週間後に皮膚症状が消失またはほぼ消失(GPPGA合計スコアが0または1)を達成した患者の割合は、プラセボ群の11%に対し、スペソリマブ群で43%だった。

 1週間後に有害事象を報告した患者の割合は、スペソリマブ群66%、プラセボ群56%。感染症を報告した患者の割合は、スペソリマブ群17%、プラセボ群6%(1週目)。重篤な有害事象は、スペソリマブ群の6%で報告されたとしている(1週目)。

12週間試験期間終了後、84.4%で膿疱が消失、81.3%で皮膚症状が消失またはほぼ消失

 AADで発表されたデータによると、この効果は12週間以上持続し、12週間の試験期間終了後、84.4%の患者で膿疱が消失。81.3%の患者で皮膚症状が消失またはほぼ消失したことが明らかになった。

 スペソリマブ投与後に観察された迅速な皮膚症状の消失は、年齢、性別、人種、IL-36遺伝子突然変異の有無などのサブグループ間で概ね一致。スペソリマブ投与後の痛み、疲労感QOL、皮膚症状に関する患者報告アウトカムにおいて1週間で臨床的に有意な改善が認められたとしている。

 

中等症~重症アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、長期有効性を確認

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者(青少年および成人)に対するJAK阻害薬ウパダシチニブの有効性と安全性について、2つのプラセボ対照試験結果の長期52週時のフォローアップデータ解析の結果を、米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが発表した。ベネフィット・リスクのプロファイルは良好であり、16週時点で認められた有効性は52週時点でも確認されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年3月9日号掲載の報告。

 研究グループが、アトピー性皮膚炎患者に対するウパダシチニブの長期(52週)の有効性と安全性を評価するため解析した2つの試験は、いずれも現在進行中の第III相二重盲検プラセボ対照反復無作為化試験「Measure Up 1試験」と「Measure Up 2試験」。それぞれ、151施設および154施設で中等症~重症アトピー性皮膚炎の青少年および成人患者が参加している。今回の解析のためのデータカットオフ日は、それぞれ2020年12月21日と2021年1月15日であった。

 主要評価項目は、安全性および有効性で、湿疹面積・重症度指数(EASI)75%改善および試験担当医によるアトピー性皮膚炎の総合評価(vIGA-AD)スコアが2段階以上改善を伴うスコア0(消失)または1(ほぼ消失)への達成などで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析に含まれた被験者は、2試験で計1,609例(平均年齢33.8[SD 15.6]歳、女性727例[45.2%]、男性882例[54.8%])であった。
・16週時点の有効性は、52週時点まで持続していた。
・52週時点のEASI 75%改善達成率は、15mg用量服用患者群で、Measure Up 1試験被験者82.0%(95%信頼区間[CI]:77.0~86.9)、Measure Up 2試験被験者79.1%(73.9~84.4)、30mg用量服用患者群でそれぞれ84.9%(80.3~89.5)、84.3%(79.6~89.0)であった。
・52週時点の2段階以上の改善を伴うvIGA-ADスコア達成率は、スコア0への改善達成率が各試験被験者59.2%(95%CI:52.9~65.5)、52.6%(46.2~59.1)であり、スコア1への改善達成率がそれぞれ62.5%(56.3~68.7)、65.1%(58.9~71.2)であった。
・有害事象による治療中止は全体的に低調だったが、30mg用量群でわずかに高率に認められた。両用量とも忍容性は良好で、新たな安全性シグナルはみられなかった。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov