デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

長期の生物学的製剤の使用で悪性黒色腫(メラノーマ)のリスクを増加させる可能性

長期の生物学的製剤は悪性腫瘍のリスクとなる可能性があるとして以下の検討がなされた。

 

Embase、MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)をデータソースとして、1995年1月1日~2019年2月7日に公開された論文を検索した。

対象となったのは炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、乾癬の患者。

 

主な結果は以下のとおり。

・7コホート試験が適格基準を満たし、生物学的製剤治療群3万4,029例と、同未治療の従来全身治療群13万5,370例が包含された。
・生物学的製剤治療は、各疾患患者のメラノーマ発生と正の相関がみられた。ただし、統計的有意差は認められなかった。
・プール相対リスクは、IBD患者群1.20(95%信頼区間[CI]:0.60~2.40)、RA患者群1.20(同:0.83~1.74)、ハザード比は乾癬患者群で1.57(95%CI:0.61~4.09)だった。
・ほかのリスク因子の調整は、ほとんどの研究で行われていなかった。

 

原著論文へのリンクはこちら

https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2766278

 

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コメント:

生物学的製剤やその他の新規薬剤については常に悪性腫瘍との関連が問題となります。

悪性腫瘍の発生には数年~数十年の期間がかかるので、長期の観察期間が必要となります。今後さらなる症例の蓄積と、データベースによる解析が必要ですね。