中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)は11月11日、唾液から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とインフルエンザウイルスA型・B型を同時に検出できるスディックスバイオテック社のPCR法によるキットの保険適用を承認した。保険点数は1350点(検体輸送が必要な場合は1800点)。年内に発売される予定の専用PCR測定機があれば約20分でPCR検査が完了するため、発熱患者への活用が期待される。汎用PCR測定機の場合は約60分。メーカーによると、唾液による新型コロナとインフルエンザの同時検査装置の開発は世界初で、専用PCR測定機は低価格での販売を目指している(資料は厚生労働省のホームページ)。
保険適用が承認された試薬の販売名は「SGNP nCoV/Flu PCR検出キット」。唾液、鼻腔拭い液、鼻咽頭拭い液のいずれかを検体として、SARS-CoV-2、インフルエンザウイルスA型・B型を同時に検出することができる。前処理として糖鎖固定化磁性ナノ粒子を利用しウイルス粒子を濃縮精製することで、PCR検査の所要時間を短縮したほか、不活化したウイルスを陰性と判定できるため、偽陽性が少なくなるという。
スディックスバイオテック社と共同で装置を開発している澁谷工業によると、同時検出に必要な専用PCR測定機は年内に発売する予定。価格や販売数は未定だが、澁谷工業広報部の担当者は「既に相当数の引き合いが来ている」と話している。
政府、安定供給に努力
オンラインで開かれた中医協総会では、日本医師会常任理事の松本吉郎氏が「唾液検体でも新型コロナとインフルエンザの核酸を同時に検出できる初めてのもので、安全性と利便性が高いことから、簡便に実施できるのであれば、相当数の需要が見込まれる」として、検査ができる施設やキットの供給量について質問した。
厚労省側は「本品はPCR検査装置を用いるので、臨床検査技師の配置等の体制を有し、自院で検査ができる医療機関が想定されている。衛生検査所など外部に発注する場合、タイムラグが生じるため、インフルエンザウイルスについてはメリットが生かしにくい」と説明。供給については「企業とは安定供給について話をしている。経産省とも、必要な場合に増産体制を整えることができるよう連携している。最大限、国としても安定供給できるよう努力したい」と述べた。