デルマニアのブログ

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米FDAがトファシチニブに重大副作用で警告 重大な心血管イベントとがんのリスクが上昇

 米国食品医薬品局(FDA)は2月4日、関節リウマチ(RA)および潰瘍性大腸炎の治療に用いるJAK阻害薬トファシチニブ(商品名ゼルヤンツ、ゼルヤンツXR)について、RA患者を対象とした安全性臨床試験の予備結果から、TNF阻害薬と比べて重大な心血管イベントおよびがん発症のリスクが高いことが示されたとして警告を発出した。FDAは肺塞栓や死亡のリスクについても調査を求めており、最終結果の発表が待たれる。

 トファシチニブは、2012年、メトトレキサート(MTX)の効果がない成人RA治療薬としてFDAから承認を受けて以来、2017年にMTXまたは他の治療薬の効果がない乾癬性関節炎(PsA)、2018年に潰瘍性大腸炎の治療薬として追加適応の承認を取得している。

 FDAは初回承認時、製造元のPfizer社に対して、MTXを服用していたRA患者を対象に、重大な心血管イベント、がん、感染症のリスクを検証する安全性臨床試験の実施を求めた。この試験では、心血管危険因子が1項目以上ある50歳以上のRA患者を対象に、2通りの用量のトファシチニブ[5mg錠1日2回投与(RA治療の承認用量)および10mg錠1日2回投与]とTNF阻害薬の安全性を比較した。

 FDAは、2019年2月と7月に、中間データ解析からトファシチニブ高用量(10mg錠1日2回投与)群の血栓症および死亡のリスクが高いことが示されたとして警告を発出し、添付文書に枠組み警告(Boxed Warning)を追加した。この試験は現在終了しており、初期結果では、TNF阻害薬と比べると、トファシチニブで治療したRA患者は、いずれの用量群でも重大な心血管イベントおよびがんの発症率が高いことが示されており、詳細な結果が待たれている。

 FDAは、医師に対して、便益とリスクをよく考えてトファシチニブの処方や治療継続を判断するよう求めており、トファシチニブ服用中の患者には自己判断で服薬を中止せず、主治医に相談するよう呼び掛けている。

 

www.fda.gov