デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

MSD 経口投与の軽症新型コロナ治療薬MK-4482 4月中に日本含む第3相試験開始

MSD日本法人は4月20日に開いた年次会見で、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症治療薬として開発中の経口抗ウイルス薬・MK-4482(開発コード、一般名:molnupiravir)について、4月中に日本を含む国際共同第3相試験を開始すると発表した。同社の白沢博満・上級副社長(グローバル研究開発本部長)は会見で、前期第2相試験結果について、「非常に限られた症例数の探索的試験のため、結論を導くのに注意が必要」と強調した上で、「5日間の投与で感染性のあるウイルスは100%消失した」と説明した。第3相試験の最終データは今年9~10月に得られる見込み。良好なデータが得られた場合、各国の規制当局と相談の上、承認申請する。

MSDの親会社の米メルクが米国で実施した多施設共同前期第2相試験の中間結果を発表している。入院していない成人患者202例にMK-4482またはプラセボを投与し、安全性、忍容性、ウイルスを排除する効果について検討した。鼻咽頭または口咽頭スワブにより採取したSARS-CoV-2をPCR検査により解析した。その結果、MK-4482投与群の投与5日目のウイルス培養陽性率は0%(47例中、陽性0例)、プラセボ群の同陽性率は24%(25例中、陽性6例)だった(P=0.001)。

MK-4482は経口投与可能なリボヌクレオシドアナログ。新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)など様々なRNAウイルスの複製を阻害するという。

上沢上級副社長によると、すでに多くの政府からMK-4482の引き合いがある状態で、開発動向を踏まえつつ、同時並行で生産体制も整備していく方針を示した。国内生産するかどうかについては「製造所は開示していない」と述べた。

新規経口抗ウイルス薬MK-4482、ハムスターモデルで検証

 新型コロナウイルスSARS-CoV-2)感染の予防および治療に新規経口抗ウイルス薬が有効な可能性が、米国立衛生研究所(NIH)の研究グループによる研究から示唆されている。新型コロナウイルスSARS-CoV-2)感染ハムスターモデルで、開発中の抗ウイルス薬MK-4482をSARS-CoV-2感染12時間前または感染から12時間後までに投与することによって、肺組織中のウイルス量と肺病変が有意に減少したという。この結果は、「Nature Communications」4月16日オンライン版に発表された。

 今回の試験では、ハムスターモデルをSARS-CoV-2曝露前、曝露後の治療群と未治療の対照群の3群に分けてMK-4482の有効性を比較した。治療群にはいずれもMK-4482を12時間ごとに3日間経口投与した。その結果、両治療群では、対照群に比べて肺組織中に検出されるウイルス量が100分の1へと有意に減少し、肺病変も有意に少なかった。

 MK-4482の投与量は、SARS-CoV-1感染およびMERS-CoV感染マウスモデルを用いた過去の研究に基づいて決定した。なお、この研究では、MK-4482によるウイルス複製阻止効果が認められた。単独投与のほか、別の治療薬との併用投与も可能だと考えられる。

 MK-4482は、米エモリー大学の研究グループが米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の助成を受けて開発したインフルエンザ治療薬。現在、メルク社とRidgeback Biotherapeutics社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として共同開発しており、第II相および第III相臨床試験が進行中だ。

www.nih.gov