デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

米FDAが熱傷治療に再生皮膚組織StrataGraft承認 深達性部分層熱傷が適応

 米国食品医薬品局(FDA)は6月15日、外科的治療が適応となる成人の深達性部分層熱傷の治療に再生皮膚組織「StrataGraft」(Mallinckrodt社)を承認した。

 StrataGraftは、2種類のヒト皮膚細胞(ケラチノサイト細胞と真皮線維芽細胞)を共培養して作製した2層構造コンストラクト(細胞の足場)による他家皮膚組織だ。熱傷創部位に移植すると、時間の経過とともに患者自身の皮膚細胞が増殖し、熱傷によって失われた皮膚細胞を補うようになる。このほか、熱傷治療に培養皮膚を用いることで移植に必要な健康な皮膚の採取量を減らせる便益もある。

 StrataGraftの有効性と安全性は、深達性部分層熱傷を負った成人患者計101例を対象とした2件の無作為化比較試験で検証されている。熱傷の面積と深度が同程度の患者ペアを組み、一方をStrataGraft移植群、もう一方を自家移植群に無作為に割り付けた。その結果、StrataGraft移植群の方が完全創傷閉鎖率が高く、自家移植の必要性が有意に減少した。

 StrataGraftによく見られた副作用に、移植部位のそう痒感、水疱肥厚性瘢痕、治癒不全があった。紅斑、腫れ、局所の熱感、創部感染など創傷関連イベントに関する安全性に関する特徴は自家移植と同程度だった。臨床試験では拒絶反応は報告されなかった。

 StrataGraftは、米国保社会福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)と共同で開発されたもので、FDAは、StrataGraftを先進的な再生医療(regenerative medicine advanced therapy:RMAT)、優先審査、希少医薬品に指定している。

www.fda.gov