デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

扁平苔癬にルキソリチニブ外用薬が有効 Topical ruxolitinib as a treatment for cutaneous lichen planus: A phase II study

重要なポイント
前向き第2相試験で、皮膚扁平苔癬(LP)にルキソリチニブの外用薬が有効であることが明らかになった。
トランスクリプトーム解析により、LPはインターフェロンが関与する疾患であることが確認された。
その結果、インターフェロンに刺激された遺伝子(ISG)のダウンレギュレーションに疾患の反応との相関が認められることがわかった。

 最近の研究から、インターフェロン-γがLPの炎症を媒介することが示されている。 

この論文の意義

 LPの病因にインターフェロン-γが関与しているという先行研究に基づき、インターフェロン-γのシグナル伝達を阻害するヤヌスキナーゼ1/2阻害剤(JAK1/2)がLPの治療に有効であるという仮説を立てた。これを検証するため、この試験では、皮膚LP患者を対象にルキソリチニブ局所使用の有効性を評価した。

研究デザイン
 皮膚性LP患者12例を対象とした。参加者に、ルキソリチニブの外用薬を1日2回、8週間塗布した。主要評価項目は、治療した病変と対照の治療しない病変の4週時点の総病変数と修正複合評価指標病変重症度(mCAILS)スコアの変化とした。

結果と結論
 ルキソリチニブで治療した患者では、総病変数が中央値で50個減少した。同じく、mCAILSスコアも減少し、治療群と対照群の差は平均7.6だった。このほか、LPではI型およびII型のインターフェロン経路が充実していることがわかった。トランスクリプトーム解析から、ISGのダウンレギュレーションに疾患の反応との相関があることが示された。

https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(22)00083-5/fulltext?rss=yes

 

関連研究
薬剤予測アルゴリズムを用いて、LP患者の有望な治療法としてJAK阻害薬が特定された(出典)。

https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.aav7561


Th17/Tc17細胞を標的とした治療により、粘膜および皮膚のLPが大幅に改善したことから、IL-17産生T細胞がLP疾患の病態に不可欠であることが示唆された(出典)。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2019.01808/full

 

 

https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(22)00083-5/fulltext?rss=yes