デルマニアのブログ

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円形脱毛症治療でのリトレシチニブとブレポシチニブの評価  両薬ともに24週で病変のトランスクリプトーム・プロファイルが改善

 円形脱毛症(AA)の患者において、ヤヌスキナーゼ(JAK)3およびTEC(肝細胞がんで発現する)ファミリーキナーゼの阻害薬であるリトレシチニブと、チロシンキナーゼ2/JAK1阻害薬であるブレポシチニブが、病変頭皮のトランスクリプトーム(細胞内の全RNA)の改善に関連することが、「Journal of Allergy and Clinical Immunology」に12月1日報告された。

 米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らは、円形脱毛症治療におけるリトレシチニブ、ブレポシチニブの有効性と安全性を調べる第2a相ランダム化プラセボ対照試験で、最初の24週間に生検によるサブスタディを実施。患者46人がリトレシチニブ群(18人)、ブレポシチニブ群(16人)、プラセボ群(12人)に割り付けられた。探索的評価項目として、ベースライン時、12週目、24週目の病変頭皮生検でバイオマーカーの変化を調べ、毛髪再生とバイオマーカーとの関連を評価した。

 その結果、24週目において、リトレシチニブ群、ブレポシチニブ群ともに、病変頭皮のトランスクリプトーム・プロファイルは、100%超で非病変プロファイルへと改善していた。頭皮組織は、12週目ではブレポシチニブ群の方がリトレシチニブ群よりも大きく改善していたが、24週目ではリトレシチニブ群でより大きく改善していた。また、リトレシチニブ群、ブレポシチニブ群ともに、脱毛症の重症度を示すSeverity of Alopecia Tool(SALT)スコアの改善(スコアの低下)は、Th1マーカー発現減少および毛髪ケラチンの発現増大と関連していた。

 著者らは、「分子バイオマーカーは12週と24週の間で変化したことから、24週後にさらに変化が見られるかどうかは興味深い」と述べている。

 著者らのうち数名は、リトレシチニブ、ブレポシチニブの製造元であり本研究に資金援助したPfizer社ほか製薬業界との利益相反(COI)を開示している。

https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(21)01823-6/fulltext