デルマニアのブログ

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中等症~重症アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、長期有効性を確認

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者(青少年および成人)に対するJAK阻害薬ウパダシチニブの有効性と安全性について、2つのプラセボ対照試験結果の長期52週時のフォローアップデータ解析の結果を、米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが発表した。ベネフィット・リスクのプロファイルは良好であり、16週時点で認められた有効性は52週時点でも確認されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年3月9日号掲載の報告。

 研究グループが、アトピー性皮膚炎患者に対するウパダシチニブの長期(52週)の有効性と安全性を評価するため解析した2つの試験は、いずれも現在進行中の第III相二重盲検プラセボ対照反復無作為化試験「Measure Up 1試験」と「Measure Up 2試験」。それぞれ、151施設および154施設で中等症~重症アトピー性皮膚炎の青少年および成人患者が参加している。今回の解析のためのデータカットオフ日は、それぞれ2020年12月21日と2021年1月15日であった。

 主要評価項目は、安全性および有効性で、湿疹面積・重症度指数(EASI)75%改善および試験担当医によるアトピー性皮膚炎の総合評価(vIGA-AD)スコアが2段階以上改善を伴うスコア0(消失)または1(ほぼ消失)への達成などで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析に含まれた被験者は、2試験で計1,609例(平均年齢33.8[SD 15.6]歳、女性727例[45.2%]、男性882例[54.8%])であった。
・16週時点の有効性は、52週時点まで持続していた。
・52週時点のEASI 75%改善達成率は、15mg用量服用患者群で、Measure Up 1試験被験者82.0%(95%信頼区間[CI]:77.0~86.9)、Measure Up 2試験被験者79.1%(73.9~84.4)、30mg用量服用患者群でそれぞれ84.9%(80.3~89.5)、84.3%(79.6~89.0)であった。
・52週時点の2段階以上の改善を伴うvIGA-ADスコア達成率は、スコア0への改善達成率が各試験被験者59.2%(95%CI:52.9~65.5)、52.6%(46.2~59.1)であり、スコア1への改善達成率がそれぞれ62.5%(56.3~68.7)、65.1%(58.9~71.2)であった。
・有害事象による治療中止は全体的に低調だったが、30mg用量群でわずかに高率に認められた。両用量とも忍容性は良好で、新たな安全性シグナルはみられなかった。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov