デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

米FDAが尋常性乾癬に外用PDE4阻害薬承認 乾癬治療に初の非ステロイド外用薬

 Arcutis Biotherapeutics社は7月29日、12歳以上の間擦部位を含む尋常性乾癬治療薬として、同社のPDE-4阻害薬roflumilast0.3%クリーム(商品名ZORYVE)が米食品医薬品局(FDA)の承認を受けたと発表した。同社によれば、roflumilastクリームは尋常性乾癬の局所治療に用いる初の外用PDE-4阻害薬で、乾癬局面を迅速に除去し、全身の患部のかゆみを軽減するほか、1日1回投与の非ステロイド系薬で安全性に優れ、患者の自己管理の簡素化に寄与するという。

 今回の承認は、2件の第III相無作為化比較試験「DERMIS-1」「DERMIS-2」の結果に基づいている。いずれも、8週時点の全般的評価(IGA)の「消失」または「ほぼ消失」の達成率が、基剤のみの対照群よりroflumilastクリーム群の方が有意に高かった(DERMIS-1試験:42%対6%、DERMIS-2試験:37%対7%、いずれもP<0.0001)。このほか、roflumilastクリーム群では2週時点でかゆみの重症度が改善し、試験開始前にかゆみの数値評価尺度スコア(Worst Itch-Numerical Rating Score;WI-NRS)の最も低いスコアが4点以上だった患者の3分の2では、8週時点で4点以上の改善が認められた。さらに、roflumilastクリームは間擦部位に対する治療効果が確認された唯一の外用薬で、8週目の間擦部位のIGA成功率は、DERMIS-1試験が72%、DERMIS-2試験が68%だったのに対し、対照群ではそれぞれ14%、17%だった(P<0.0001)。

 頻度の高い有害反応に、下痢頭痛不眠悪心、適用部位の疼痛上気道感染症尿路感染症があった。

 米マウントサイナイ医科大学皮膚科名誉教授兼臨床治療学部長で、臨床試験の治験責任医師Mark Lebwohl氏は「roflumilastクリームは、複数の臨床試験で、膝や肘などの難治部位や顔、性器、趾間などで皮膚クリアランスが改善し、高い有効性が確認された。また、尋常性乾癬のような慢性皮膚疾患の治療では非常に忍容性が高いことも重要だ」とし、「今回のFDAの承認により、青年期以降の尋常性乾癬患者にとって、全身の患部に使用できる非ステロイド系の外用薬が新たな治療選択肢として加わったのは喜ばしいことだ」とコメントしている。

 

www.arcutis.com