デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

FDAが尋常性白斑での色素脱失に対する局所治療薬を初承認 対象は12歳以上の小児と成人

 米食品医薬品局(FDA)は7月19日、非分節型の尋常性白斑における色素再沈着のための局所治療薬としてOpzelura(一般名ルキソリチニブ)クリームを承認した。

 非分節型の尋常性白斑は、皮膚の色素細胞が減少して色素が白く抜ける皮膚疾患である。このような色素脱失は、顔、首、頭皮、口や性器などの体の開口部の周り、および手や腕などの摩擦や衝撃を受けやすい領域などに生じる。

 ルキソリチニブヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、免疫抑制状態になく、従来の局所療法で疾患を十分にコントロールできていないか、従来の局所療法が推奨されない12歳以上の、軽度から中等度のアトピー性皮膚炎患者に対して、短期間、非継続的に投与する局所治療薬としてすでに承認されていた。

 今回の承認で同薬剤の塗布対象とされたのは12歳以上の小児と成人で、体表面積の最大10%までの患部に1日に2回まで塗布できる。治療は、患者が満足する治療成果を得るまでに、24週間以上を要する場合もある。

 ルキソリチニブの安全性と有効性は、2件のランダム化臨床試験で確認された。いずれの試験でも、対象患者は1日に2回、24週間にわたってルキソリチニブを塗布する群、またはプラセボを塗布する群にランダムに割り付けられた。ルキソリチニブ群はさらに、28週間の追加治療を受けた。塗布開始から24週間目の治療終了時点で、顔面白斑面積スコアリング指数(F-VASI)による評価で75%以上の改善を示した患者の割合は、ルキソリチニブ群で30%だったのに対して、プラセボ群では10%にとどまっていた。

 最も頻繁に報告された有害事象は、塗布部位のざ瘡(にきび)・かゆみ・発赤、風邪、頭痛尿路感染症、および発熱であった。なお、ルキソリチニブを生物学的製剤や他のJAK阻害薬アザチオプリンシクロスポリンなどの強力な免疫抑制剤と組み合わせて使用することは推奨されていない。

 米タフツ医療センターのDavid Rosmarin氏は、Opzeluraの製造元であるIncyte社のプレスリリースで、「今回、FDAにより、尋常性白斑で生じる色素脱失に対する初めての局所治療薬が承認された。これは記念すべきことだ。患者が、疾患により生じた色素脱失を元に戻せる可能性を期待できるような治療薬が承認されたことを私はうれしく思っている」と話している。