デルマニアのブログ

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経口投与の円形脱毛症治療薬・リトレシチニブを承認申請

 ファイザーは8月25日、円形脱毛症を対象疾患とする経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬・リトレシチニブトシル酸塩カプセル(一般名:リトレシチニブトシル酸塩、開発コード:PF-06651600)について、日本で承認申請したと発表した。今回の申請に用いた国際共同試験は、成人及び12歳以上の青少年を対象に、導入期、維持期ともに1日1回投与で実施した。

 リトレシチニブは、ATPアデノシン三リン酸)結合部位の遮断により、JAK3及び5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤。

 同剤は JAKファミリーキナーゼのうちJAK3に対する選択性が極めて高く、JAK1、JAK2、TYK2に対する阻害活性はほとんど示さない。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により抑制し、CD8陽性T細胞及びNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することから、治療効果が期待できると考えられている。

 今回の申請は、全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同試験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)の結果などに基づく。リトレシチニブ投与群(50mg及び30 mg群)は、主要評価項目である24週時のSALT≤20達成割合(SALTは脱毛症の重症度評価ツールで、SALT≤20 は頭部脱毛が20%以下であることを意味する)において、プラセボと比較して統計的に有意な改善を示した。リトレシチニブの忍容性、安全性は良好だったとしている。

 ALLEGRO-2b/3試験は、中等症から重症の成人および青少年(12歳以上)の円形脱毛症患者を対象に、リトレシチニブの有効性および安全性を評価した後期第2/3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定試験。ALLEGRO-LT試験は、成人および青少年(12歳以上)の円形脱毛症患者を対象に、リトレシチニブの安全性および有効性を評価した第3相、非盲検、長期投与試験