デルマニアのブログ

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「朝食をたくさん、夕食は少なく」は本当に効果的? クロスオーバー法で有意差なし

 朝食は多く食べ、その分、夕食は控えめにするという食事スタイルが減量につながると考えている人を失望させるデータが報告された。英アバディーン大学ローウェット研究所のAlexandra Johnstone氏らの研究によるもので、詳細は「Cell Metabolism」に9月9日掲載された。同氏は、夕食よりも朝食にたくさん食べた方が良いという考え方が、多くの人に支持されていることを認めている。しかし一方で、「そうであっても『時間栄養学』、つまり栄養を摂取する時間帯と健康への影響の研究は、比較的新しい科学である」と述べ、まだエビデンスが十分ではないことに注意が必要だとしている。

 Johnstone氏らは、BMI27~40と過体重から肥満で、慢性疾患のない18~75歳の成人30人(平均年齢50.9±2.1歳、男性が16人)を対象とする、無作為化クロスオーバー試験を実施。研究参加者を2群に分け、1群には最初に朝食をたくさん食べる食事スタイル(ML条件)を実践してもらい、他の1群はたくさん夕食を食べる食事スタイル(EL条件)を実践してもらった。その4週間後に1週間のウォッシュアウト期間をおいて、前半とは異なる条件の食事スタイルを4週間続けてもらった。

 ML条件とEL条件の摂取エネルギー量は等しく、前者は朝食に45%、昼食に35%、夕食に20%を充て、後者は同順に、20%、35%、45%を充てた。全ての食事は、炭水化物35%、タンパク質30%、脂質35%で統一した。

 その結果、4週間での減量幅は、ML条件では3.33kg、EL条件では3.38kgであり、両条件ともに有意かつ同等の減量が達成された。つまり、どちらの条件でも、食事スタイルを切り替えた後に減量が加速されるような現象は認められなかった。また、安静時エネルギー代謝量は両条件で同様に変化していた。

 ただし、一つ大きな違いが見つかった。Johnstone氏によると、「エネルギー代謝への影響に違いはなかったが、ML条件ではEL条件よりも空腹感が抑制され、1日を通して食欲をコントロールしやすくなる効果が示された」とのことだ。この効果について同氏は、「人々がカロリー制限を順守できない主な理由の一つは『空腹感』だ。よって、空腹感を抑えるのに役立つ食事療法であれば、長期的にはメリットとして現れてくる可能性がある」と語っている。ただし、そうではあるが同氏らは、今回の研究結果を根拠に、「代謝に良い影響を与え得る万能のアプローチがある可能性は低い」と付け加えている。

 本研究には関与していない、米国の栄養と栄養学のアカデミーの元会長で、栄養コンサルタントやスポーツ栄養士として活動しているConnie Diekman氏は、この結果に対して特に驚きを表していない。同氏は、「ほかの人とまったく同じように反応する人は存在しない」と述べ、本研究のみを根拠に早急な結論を導くことはしない。そして、「私自身は栄養学の専門家として、介入対象者に二つの提案を試みる。一つは、起きてから1時間以内に食事を楽しむこと。そして第二に、過食につながる可能性のある、血糖値の過度の低下を避けるため、3~4時間ごとに適度な範囲のエネルギーを補給することだ」と語っている。

 

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