デルマニアのブログ

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ビメキズマブが乾癬性関節炎の症状を改善 第Ⅲ相ランダム化試験BE OPTIMAL

 英・University of GlasgowのIain B. McInnes氏らは、生物学的製剤による治療歴のない乾癬性関節炎患者1,163例を対象に、抗インターロイキン(IL)-17抗体ビメキズマブの有効性と安全性を評価する第Ⅲ相ランダム化比較試験BE OPTIMALを実施。プラセボ投与群と比べてビメキズマブ投与群では投与16週時点における関節症状および皮膚症状が良好であったことをLancet2022年12月5日オンライン版)に報告した。

日本を含む14カ国135施設で実施

 ビメキズマブは炎症性サイトカインIL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害し、強い炎症抑制効果が期待される。中等度〜重度の尋常性乾癬患者を対象とした第Ⅲb相試験BE RADIANTでは、ビメキズマブはセキヌマブに比べて有意な皮膚症状の改善を示し(N Engl J Med 2021; 385: 142-152)、アダリムマブを対照とした第Ⅲ相試験BE SUREおよびウステキヌマブおよびプラセボを対照とした第Ⅲ相試験BE VIVIDにおいても同様の結果を示している(N Engl J Med 2021; 385: 130-141Lancet 2021; 397: 487-498)。中等度〜重度の乾癬性関節炎患者を対象とした第Ⅱb相試験BE ACTIVEでも、ビメキズマブの有効性と忍容性が示され、非盲検の延長試験では3年まで改善が持続することが確認されている(Lancet 2020; 395: 427-440)。

 BE OPTIMAL試験の対象は18歳以上の生物学的製剤未治療の乾癬性関節炎患者で、日本を含む14カ国135施設で実施された。2019年4月〜21年10月に登録された1,163例のうち852例を、ビメキズマブ群(431例、4週間ごとにビメキズマブ160mg投与)、プラセボ群(281例、2週間ごとにプラセボ投与)、参照群(140例、2週間ごとにアダリムマブ40mg投与)に3:2:1でランダムに割り付け52週間投与。なお、プラセボ群は16週目に非盲検化し、4週間ごとのビメキズマブ160mg投与に切り替えた。

 主要評価項目は16週時点の米国リウマチ学会コアセット改善50%以上(ACR50)の達成率、副次評価項目は16週時点におけるHealth Assessment Questionnaire Disability Index(HAQ-DI)スコアのベースラインからの変化、ベースラインで体表面積(BSA)の3%以上に影響を及ぼす乾癬患者における乾癬重症度指標(Psoriasis Area Severity Index)の90%以上の改善(PASI90)などだった。手足の関節破壊の進行はvan der Heijde modified Total Sharp Score(vdHmTSS)を用いて、骨浸食と関節腔狭窄の程度を定量化して評価した。

 有効性の解析対象はランダムに割り付けられた全患者(intention-to-treat集団)、安全性の解析対象は1回以上の投与が行われた患者とし、今回の報告では24週目までの解析データが示された。

ビメキズマブ群では44%がACR50達成

 16週時点でACR50を達成した患者の割合は、プラセボ群の10%(281例中28例)に対してビメキズマブ群では44%(431例中189例)と有意に高かった(オッズ比 7.1、95%CI 4.6〜10.9、P<0.0001)。アダリムマブ群は46%(140例中64例)だった。全ての副次評価項目についてもプラセボ群に比べてビメキズマブ群では有意な改善を示した。

 16週目までの治療関連有害事象は、ビメキズマブ群258例(60%)、プラセボ群139例(49%)、アダリムマブ群83例(59%)で発現したが、死亡例はなかった。ビメキズマブ群では鼻咽頭炎、上気道感染症、頭痛、下痢の頻度が高かったが、新たな安全性上の問題は認められなかった。

 なお、今後は52週目までの長期データと非盲検延長試験のデータの報告が予定されている。