デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

幼児のピーナツアレルギーにパッチ剤が有効 米・経皮免疫療法の第Ⅲ相RCT

 米・University of Colorado School of MedicineのMatthew Greenhawt氏らは、ピーナツアレルギーを有する1~3歳児を対象に、ピーナツ蛋白質250μg含有(ピーナツ1粒の約1,000分の1に相当)のパッチ剤を貼付する経皮免疫療法の有効性と安全性を第Ⅲ相多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)EPITOPEで検討。ピーナツに対する脱感作の割合およびアレルギー反応誘発閾値の上昇に関して、経皮免疫療法はプラセボより優れていたとN Engl J Med2023; 388: 1755-1766)に発表した。

67%で奏効、アレルギー誘発用量の目標値を達成

 ピーナツアレルギーはこの20年間で急増しており、小児におけるアナフィラキシーの主な原因の1つとなっているが、4歳未満児に対し承認された治療法はない。Greenhawt氏らは今回、ピーナツアレルギーを有する4~11歳児で経皮免疫療法の有効性と安全性のエビデンスが示されていることを受けて、1~3歳児を対象にしたEPITOPEを行った。

 同試験の対象は、8カ国51施設でピーナツアレルギーと診断され、二重盲検プラセボ対照食物負荷試験によるピーナツ蛋白質のアレルギー反応誘発閾値が300mg以下の1~3歳児362例(年齢中央値2.5歳、男児68.8%)。1日1回ピーナツ蛋白質250μg含有パッチ剤を貼付する介入群(244例)とプラセボを貼付するプラセボ群(118例)に2:1でランダムに割り付けて12カ月間治療した。

 主要評価項目は治療開始後12カ月時点の誘発閾値で評価した奏効とし、誘発閾値がベースライン時の10mg超から1,000mg(ピーナツ約3~4粒に相当)以上または300mg(同1粒)以上になった場合をと定義した。

 解析の結果、奏効率はプラセボ群の33.5%に対し介入群では67.0%と有意に高かった(群間差33.4%ポイント、95%CI 22.4~44.5%ポイント、P<0.001)。この結果は、事前に設定された全ての感度分析や各種のサブグループ解析でも一貫して認められた。

 また、プラセボ群と比べ介入群では、12カ月時点における誘発閾値のベースラインからの変化量の中央値が有意に大きかった〔0mg(四分位範囲0~700mg) vs. 900mg(同90~1,700mg)、P<0.001〕。

4例に治療関連のアナフィラキシー出現

 有害事象の発現率は介入群で100%、プラセボ群で99.2%だった。

 重篤な有害事象は介入群の8.6%、プラセボ群の2.5%に発現し、うち介入群における眼窩周囲浮腫(1例・0.4%)は治療関連と判定された。アナフィラキシーはそれぞれ7.8%、3.4%に発現し、介入群の4例(1.6%)が治療関連と判定された。

 有害事象による治療中止は介入群(8例・3.3%)でのみ認められた。

 以上を踏まえ、Greenhawt氏らは「ピーナツアレルギーを有する1~3歳児において、ピーナツ蛋白質250μg含有パッチ剤の1日1回12カ月間貼付による経皮免疫療法は脱感作の点でプラセボより優れており、偶発的摂取によるアレルギー反応を低下させる効果があることが示された」と結論している。