デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

コロナワクチンと帯状疱疹に関連見られず

 米国で、新型コロナウイルス感染症COVID-19)ワクチン接種者203万9854例を対象に、COVID-19ワクチン接種による帯状疱疹感染リスクを自己対照リスク期間(self-controlled risk interval:SCRI)デザインのコホート研究で評価。ワクチン接種後30日または最長2回目接種までのリスク期間とワクチン接種後の対照期間(最終接種記録日から60-90日)で帯状疱疹リスクを比較した。

 帯状疱疹の診断を受けた1451例(平均51.6歳、女性58.2%)を主要解析に組み入れた。補正後のSCRI解析で、COVID-19ワクチン接種に帯状疱疹リスク上昇との関連は認められなかった(発生率比0.91、95%CI 0.82-1.01、P=0.08)。補足解析でCOVID-19流行前やCOVID-19流行初期のインフルエンザワクチン接種と比較しても、帯状疱疹のリスク上昇は認められなかった(COVID-19流行前のインフルエンザワクチン接種に対するハザード比:COVID-19ワクチン初回接種0.78、95%CI 0.70-0.86、P<0.001;2回目接種0.79、0.71-0.88、P<0.001;COVID-19流行初期のインフルエンザワクチン接種に対するハザード比:COVID-19ワクチン初回接種0.89、0.80-1.00、P=0.05;2回目接種0.91、0.81-1.02、P=0.09)。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

日本初・ヒト由来の難治性潰瘍治療材料 エピフィックス の承認発売

 1. エピフィックス 販売代理店決定と販売開始のお知らせ

糖尿病性足潰瘍(DFU)、ならびに、慢性静脈不全(VLU)による難治性潰瘍を対象とした注)ヒト由来の羊膜使用組織治癒促進用材料 「エピフィックス」を、
2023年2月から、グンゼメディカル株式会社(グンゼ株式会社の連結子会社)を通じて、日本市場での販売を開始いたします。

注)エピフィックスの使用目的又は効果は「既存療法に奏効しない難治性潰瘍に使用し、創傷治癒を促進することを目的とする。」です。

製品販売開始日:2023年2月1日(水)

 

北米中心に広がるXBB.1.5、「中和抗体、ほぼ効果発揮せず」

日本での置き換わりは?感染研・鈴木氏は慎重な見解

 

 新型コロナウイルス感染症への対応が始まってから、丸3年が経過した。新型コロナワクチンの接種や経口治療薬の開発が進んだ今も、予断を許さない状況が続いている。日本国内においてはオミクロン株の亜系統であるBA.5が主流となって半年以上経つが、北米を中心に広がりを見せているのが、新たな亜系統「XBB.1.5」だ。

 米・CDC(米疾病対策センター)は2023年1月7日、アメリカ国内の新型コロナ感染の27.6%はXBB.1.5によるものであるとの推定値を公表。2022年12月3日時点ではXBB.1.5が占める割合が2.3%であったことを踏まえれば、XBB.1.5は比較的早いスピードで広がっていることが分かる。

 従来株、アルファ株、デルタ株、そしてオミクロン株のBA.1、BA.2、BA.5と日本国内の主要な株もこれまで移り変わりを続けてきた。今後、日本においてもXBB.1.5が主流となるのか。XBB.1.5の特徴はどのようなものか。疫学の専門家である国立感染症研究所感染症疫学センター長の鈴木基氏と、ウイルス学の専門家である東京大学医科学研究所教授の佐藤佳氏に話を聞いた。

 鈴木氏はXBB.1.5が他の亜系統よりも「感染・伝播性の面で優越性を持っていることは確かだろう」としつつ、日本国内でも急速な感染拡大の原因になるかどうかについては慎重な見解を提示する。また、佐藤氏はハムスターなどを用いた実験結果を基に「中和抗体はほぼ効果を発揮しない」と指摘。「感染予防についてはワクチンではなく他の感染対策に頼るべきフェーズに入っているのかもしれない」と語る。

日本もXBB.1.5へ置き換わり?鈴木氏「分からない」

国立感染症研究所感染症疫学センター長の鈴木基氏

 現在、日本国内で主流となっているのはオミクロン株のBA.5だ。少しずつ全体に占める割合が増加しているBQ.1やその他のBA.2.75、XBB系統も全てオミクロン株の亜系統に位置付けられる。

 こうした前提を踏まえ、感染研の鈴木氏は足元の感染状況について「いま国内で流行している主な変異株は全てオミクロン株であり、感染・伝播性、重症度という意味で基本的な性状は似通っている。そして、国民の大多数がワクチン接種や既感染によって一定の免疫を獲得している。こうした要因から、複数の亜系統が同時並行で流行する状態が続いている」と分析する。

 鈴木氏が2022年12月28日の厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出した資料によると、12月末時点の日本国内では50%がBA.5、34%がBQ.1、15%がBA.2.75であると推定されており、XBB系統が占める割合はわずか1%だ。

 鈴木氏はXBB系統について「現時点で言えることには限りがある」と前置きした上で、「XBB.1.5が年末にかけての北米の流行拡大に影響を与えていること、先行して広がった亜系統よりも感染・伝播性の面で優越性を持っていることは確かだろう」と語る。ただし、日本などアメリカ以外の国々で同様な置き換わりが進むかどうかについては「分からない」と言う。

 「XBB.1.5については、欧米のメディアも非常にドラスティックな変化だとして報じている側面がある。しかし、アメリカ国内を見れば、東部ではXBB.1.5が大半を占める地域もあるが、そうではない地域もある。年末年始にかけて人々の行動が活発化したことに伴う感染拡大であると分析する専門家もいるため、現時点でこの亜系統だけが拡大の原因であると断定することは難しい」(鈴木氏)

  ウイルスの変異そのものを分析したプレプリントでは、XBB.1.5は免疫逃避が強く、ワクチンや抗体治療薬の効果が減弱する可能性も指摘されている。ただし、鈴木氏は「人工的なウイルスやハムスターを使った試験において出た結果が、必ずしも実際の人間社会での流行状態に反映されるわけではない。集団の獲得免疫の状況などにもよるので、ウイルスの変異による影響が、感染者数の変化という形で現れるとは限らない」と慎重な見解を示した。

 ここまでは科学的なデータを基に現時点で確かと言えることの紹介だ。鈴木氏は同時に公衆衛生的な視点から、危機管理の一環として次のように語る。

 「日本では予想されていた通り、年末年始に新型コロナの流行が拡大している。BA.5が半数程度を占める状況の中、非常に多くの感染者が確認され、1日当たりの死亡者は最多を更新し続けている。ここにさらにXBB.1.5が加われば、現在の感染拡大の規模が継続あるいはさらに拡大する可能性もある」

XBB系統、中和抗体への抵抗性高い研究結果も

東京大学医科学研究所教授の佐藤佳氏(提供写真)

 XBB系統については東大医科研教授の佐藤氏が中心となって研究を行う「G2P-Japan」が性質について分析し、結果をプレプリントとして発表している(詳細は『Virological characteristics of the SARS-CoV-2 XBB variant derived from recombination of two Omicron subvariants』を参照)。

 同グループは、ワクチン接種後にBA.5やBA.2に感染した人の血液を用いて、作成したXBB.1の特徴を持つ人工的なウイルスに対するブレイクスルー血清の中和抗体のはたらきを調べる実験や、感染した人のウイルスをハムスターに感染させる実験などを実施。その結果、XBB.1について下記のようなポイントが明らかとなっている。

・XBB.1の特徴を持つ人工的なウイルスへの中和抗体の抵抗性は、BA.5ブレイクスルー血清に対し13倍、BA.2ブレイクスルー血清に対し30倍。
・XBB.1の融合力はBA.2.75よりも2.2倍高い。
・XBB.1の病原性は、その先祖の片割れであるBA.2.75と同程度もしくはそれよりも低い。

 佐藤氏はこの論文の結果を基に「XBB.1の免疫逃避は、これまで分析を行った変異株の中で最も強い。中和抗体の効きづらさは感染しやすさと関連していることから、かなり感染しやすい株になっていると言える」と語る。

XBB.1.5はさらに伝播力向上との研究データも

 XBB系統は、BJ.1株とBM.1.1.1株の組み換え体だ。スパイクタンパクのレセプターバインディングドメイン(受容結合部位)にR346T、N460K、F486Sなどの変異があることが確認されている。これらの変異によって「抗原性が変わっている」と佐藤氏は説明する。

 XBB.1のin vitroの実験では、BA.2.75よりも融合力が高いことが分かったため、佐藤氏らの研究グループは当初はXBB.1は病原性も上がっているとの仮説を持っていたという。しかし、ハムスターを用いた実験では、病原性の上昇は確認されなかった。この点について佐藤氏は「XBB.1の病原性については、ハムスターが反映できていない可能性がある」とした。

 今回の佐藤氏らの研究ではXBB.1を用いて実験を行った。一方で、アメリカで感染拡大しているのはXBB.1.5となっている。XBB.1.5の性質については「研究を開始している」とした上で、「重要なのはXBB.1について我々もデータで示したように、ほぼ中和抗体は効果を発揮しないと考えられるということだ」と指摘する。

 中国の研究グループが発表したデータ(詳細は『Enhanced transmissibility of XBB.1.5 is contributed by both strong ACE2 binding and antibody evasion』を参照)では、XBB.1.5がS486Pという変異を獲得したことで、ACE2受容体との結合能が上昇していることも分かっている。「免疫逃避の強いXBB系統をベースに、XBB.1.5はさらに伝播力が向上していることも示唆される」と佐藤氏は分析する。

 佐藤氏はこの論文の結果を基に「XBB.1の免疫逃避は、これまで分析を行った変異株の中で最も強い。中和抗体の効きづらさは感染しやすさと関連していることから、かなり感染しやすい株になっていると言える」と語る。

 免疫逃避の強いウイルスが感染拡大した場合、これまでと同様にワクチンに高い感染予防効果を求めることは難しいかもしれない。佐藤氏は「そもそも何のためにワクチンを接種しているのかを改めて確認しておくべき」と問題提起する。

 「mRNAワクチンは非常に優秀だったため、重症化予防とあわせて感染予防効果が確認されていた。しかし、ウイルスが変化する中で、感染予防効果をワクチンに求めることが難しくなってきている。ブースター接種を続けることで感染を予防するという戦略は、今後は充分な効果を発揮しない可能性がある。ワクチンについては、本来の重症化予防の目的で接種を行い、感染予防についてはワクチンではなく他の感染対策に頼るべきフェーズに入っているのかもしれない。この点については、これから実験的に検証していきたいと考えている」

 

遺伝性血管性浮腫、長期予防薬でQOL改善へ 急性期の重症化予防から長期の発作抑制に転換

 遺伝性血管性浮腫(HAE)は頭部(まぶた、眼の周囲、唇など)、手足、腹部などに突発的な浮腫の発作(血管性浮腫)が繰り返し起きる、5万人に1人の頻度で生じるまれな疾患である。発作は1~2日をピークとして1週間ほどで消失するが、喉頭や気管の発作では窒息死するケースもある。近年、HAEに対する長期予防薬がたて続けに発売され、患者のQOL改善が期待されるようになった。それに伴って治療戦略が、従来の急性期における重症化予防から、長期にわたる発作抑制へと大きく変化しているという。HAEガイドライン改訂に長年携わってきた九州大学病院別府病院病院長の堀内孝彦氏に、HAE診療のポイントや課題、さらには長期予防薬の登場により変化するHAE診療の展望について聞いた。

診断のポイントは家族歴、一方で家族歴のない孤発性にも注意

 HAEの発作は精神的、肉体的なストレス、手術や抜歯などの外傷をきっかけに生じる。常に発作や重症化の危険性があることから早期診断が重要だが、認知度の低さから誤診されやすく確定診断に至り難い。特に腹部の発作では激しい腹痛を伴うことから、急性腹症として開腹される場合や、女性では子宮内膜症などの婦人科系疾患に誤診される場合が少なくなく、現状では診断までに平均15~16年を要しているとされる。HAEでは早期診断が大きな課題である。

 初期診断において重要なのが、アレルギー性血管性浮腫との鑑別である。アレルギー性血管性浮腫は血管性浮腫の原因として最も多く、蕁麻疹や痒みの出現、アレルギー素因、抗ヒスタミン薬に反応性を有することが診断根拠となる。また、HAEは50%の確率で遺伝するため、同様の症状を持つ血縁者が存在する場合が少なくない。堀内氏は「家族歴の存在は診断のポイントである」と指摘する。その一方で、「HAE患者の4分の1がその患者から遺伝子異常が発生するため、孤発性である。家族歴がないからといってHAEは否定できない」と注意を喚起した。

早期診断にはC4濃度の測定が有用

 HAEの病態の中心は、カリクレイン(酵素)により産生されるブラジキニンとされる。ブラジキニンが受容体に結合すると血管内皮細胞は収縮し、細胞間に隙間が生じ水分が皮膚組織へ流出する()。HAEの病型には1~3型があり、患者の大半を占める1、2型ではC1インヒビター(C1-INH)の機能が低下し、ブラジキニンの過剰な産生が見られるという。患者は常に発作の前段階で踏みとどまっている状態であり、ストレスや外傷などがトリガーとなって、しばしばその均衡が破綻し、浮腫発作が引き起こされると考えられている。

図. ブラジキニン産生カスケードとHAEの病態および長期予防薬の作用点

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(『遺伝性血管性浮腫(HAE)診療ガイドライン 改訂2019年版』より堀内孝彦氏作図)

 本来、C1-INHは補体系において補体C1の活性化を抑制し補体C4の消費を防ぐため、C1-INHの機能低下によって血液中のC4濃度は低下する。堀内氏は「発作の有無にかかわらず98%のHAE患者でC4濃度は低下しているとされており、HAEの早期診断には補体検査が有用である」と述べた。ただし、C1-INHに異常がない3型や補体値を正確に測定できない1歳未満では遺伝子検査が必要となる。小児の診断時期について、同氏は「小児は浮腫により窒息しやすいため、両親のうちどちらかがHAEの場合には、発作が起き始める5~6歳までにはHAEの検査を行うことが望ましい」と早期診断を推奨した。

世界の流れは長期予防薬による発作の完全制御

 これまで、HAEの治療薬は急性発作時の治療薬であるブラジキニンB2受容体拮抗薬イカチバント(商品名フィラジル)と短期予防薬としても使用可能なC1-INH製剤(商品名ベリナート)であったが、長期予防薬として2021年4月には経口薬のベロトラルスタット(商品名オラデオ)、2022年5月には皮下注射のラナデルマブ(商品名タクザイロ)、そして11月には同じく皮下注射のC1-INH製剤(商品名ベリナート2000)が発売された。ベロトラルスタットとラナデルマブはカリクレイン阻害薬、ベリナートはC1-INH補充薬であり、それぞれ作用機序が異なる(

 これらの長期予防薬により患者QOLが大きく改善し、HAEの治療方針はこれまでの発作時における重症化予防から、長期間にわたる発作抑制へと変化しているという。日本補体学会の『遺伝性血管性浮腫(HAE)診療ガイドライン 改訂2019年版』も堀内氏の主導の下、長期予防薬の登場を踏まえた改訂作業が行われており、今年(2023年)の前半には改訂版が発行される予定である。

 長期予防薬の登場を踏まえて、2022年に発表された『世界アレルギー機構(WAO)/欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)のHAEガイドライン』では、全ての患者で発作を完全に制御するという先進的な目標が掲げられた。しかしながら、長期予防薬はいずれも極めて高価であり、また使用経験もいまだ限られていることから、「わが国おける長期予防薬の位置付けについてはさらなる議論が必要である」と指摘した。

2~3割にとどまる日本の診断率

 欧米ではHAE専門の診療センターや登録レジストリが充実しているのに対し、日本では診療体制を改善する余地も大きく、HAEの診断率は2~3割にとどまると推測されている。堀内氏は「救急搬送時に救急医がHAE患者を診療できない場合もあり、欧米と同様に専門組織による診断、コンサルテーションそしてフォローを受けられる仕組みが必要である」とセンター化の重要性を強調した。

 同氏が代表理事を務める『遺伝性血管性浮腫(HAE)診断コンソーシアム(DISCOVERY)』は、HAEの早期診断に焦点を当てたセンター化の取り組みの1つであり、製薬会社、アカデミア、HAEの専門医、患者会が協働し、HAE診断率の向上を目的としてさまざまな活動を行っている。医師間のコンサルテーションや患者会での啓発活動の他、レセプト情報から人工知能(AI)を用いてHAEを診断するシステムの開発などの新しい試みも行われているという。

1、2型だけでなく3型に光を当てる

 堀内氏は2011年にNPO法人血管性浮腫情報センター『CREATE』を立ち上げ、HAE患者の登録、研究および啓発活動を行っている。CREATEでは1、2型だけでなく3型の啓発にも注力しており、アジアで初めて遺伝子異常を持つ3型の家系を発見した。現在、1、2型については診断法と治療法が確立されつつあるが、3型は検査方法がないため発見が難しく、治療薬についても効果は不明であるという。同氏は「今後は3型の患者にも光を当て、診断法、治療法を確立しなくてはならない」と強調した。

 昨今は希少疾患への注目が高まっており、治療薬の開発も進み充実していくと考えられる。同氏は「HAEは診療体制の確立に向け環境が整ってきている。これからわれわれがすべき仕事は、まだ治療を受けられていない患者を早期に診断し、適切な治療に導くことである」と展望し、「そのためにぜひ、HAEという疾患の存在と治療の進歩があることを知っておいていただきたい」と訴えた。

 

2歳までのアトピー性皮膚炎は幼児期の神経発達障害リスクと関連

この論文に着目した理由

 これまで小児および成人において、うつ病、不安、注意欠陥・多動症ADHD)などの精神疾患アトピー性皮膚炎(AD)との関連が報告されています。今回紹介する論文は、韓国の国民健康保険サービス(National Health Insurance Service;NHIS)のデータベースを用いて、2008年から2012年の間に生まれた239万5966人の小児を対象に、ADと神経発達機能障害との関連を分析したものです。

 ADは、症例の90%で生後2年以内に発症するため、この研究では、24カ月までにICD-10(国際疾病分類第10版)L20.9において、5つ以上の項目でADと診断された子どもを対象としています。また、①妊娠37週以前の出生、②出生体重2.5kg未満または4.5kg超、③生後6カ月までに集中治療室(ICU)に1日以上、または生後1年までに5日超の入院、④死亡、⑤双胎出生、⑥のちに神経発達に影響すると考えられる周産期に関わる診断を受けた子どもは、除外しています。

 最終的に8万9452人が対照群に、3万557人がAD群に分類されました。アウトカムは、6歳時点における韓国の乳幼児発達スクリーニングテストの粗大運動能力、微細運動能力、認知、言語、社会性、セルフケア領域における神経発達機能障害の疑いとし、非常に確からしい研究となっています。先行研究において、小児における有病率の高いADと認知機能障害との関連を報告した研究はほとんどありません。しかし、児童精神科外来の臨床経験では、ADと神経発達症群は関連することを実感しているため、この研究に着目しました。

私の見解

 NHISは、韓国の全人口の98%をカバーする保険制度であり、非常に大々的な調査だと言えます。また、アウトカムとして、6歳時点で乳幼児発達スクリーニングテストを行っていることが、非常に興味深い点です。

 結果として、補正データでは、AD群は対照群に比べ、乳幼児発達スクリーニングテストの総スコア(補正オッズ比1.10、95%CI 1.05-1.16)、粗大運動能力(同1.14、1.04-1.25)、微細運動能力(同1.15、1.06-1.25)において、神経発達機能障害が疑われるリスクが高いことが示されました。また、ステロイドを使用したAD群または入院したAD群では、神経発達機能障害が疑われるリスクの上昇が認められました。さらにAD群では、ADHDのほか、精神遅滞や精神発達障害、行動・情緒障害との有意な関連がみられました。

 ADは慢性的かつ反復性の皮膚炎を特徴とした疾患です。遺伝素因や皮膚バリア機能障害、免疫調節障害などが原因として考えられていますが、病因は現在でも明らかになっていません。今回の研究は、自己免疫疾患感染症心疾患悪性腫瘍神経精神疾患は、ADの全身性免疫調節障害の病態生理と関連があることを明らかにしたものだと考えます。

日常臨床への生かし方

 この論文では、生後24カ月までに診断されたADは、幼児期における粗大運動能力と微細運動能力を含めた神経発達機能障害リスクの上昇と関連付けられました。AD患者を診療する小児科医、皮膚科医は、日常診療において合理的配慮が必要になる可能性があると考えます。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

皮膚癌、ポストICIの治療薬も続々

薬物療法の大きな進歩、ICIとBRAF/MEK阻害薬:主要試験を辿る

CheckMate 067試験 8)

 治療歴のない進行期メラノーマ945例を対象に、ニボルマブイピリムマブ併用療法とニボルマブをそれぞれイピリムマブと比較する第III相ランダム化比較試験(RCT)が行われ、いずれもイピリムマブに対してprogression-free survival(PFS)とoverall survival(OS)を有意に延長しました。長期フォローアップ結果が報告され、Grade 3以上の治療関連の有害事象(AE)は併用療法群59%、ニボルマブ群24%、イピリムマブ群28%、OS中央値はそれぞれ72.1カ月、36.9カ月、19.9カ月で、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法ではAEの頻度が高い一方で、長期生存が期待できることが示されました。

RELATIVITY-047試験 9)

 治療歴のない進行期メラノーマ714例を対象に、抗LAG-3抗体のrelatlimabとニボルマブの固定用量配合剤(relatlimab–nivolumab)とニボルマブを比較する第II/III相RCTが行われ、primary endpointであるPFSの中央値はそれぞれ10.1カ月と4.6カ月、HRは0.75(95%CI 0.62-0.92)とrelatlimab–nivolumabで有意にPFSを延長しました。Grade 3以上の治療関連AEはそれぞれ18.9%と9.7%でした。

DREAMseq(ECOG-ACRIN EA6134)試験 10)

 治療歴のないBRAF V600変異を有する進行期メラノーマ265例を対象に、ニボルマブイピリムマブ併用療法とダブラフェニブトラメチニブを比較する第III相RCTが行われました。Primary endpointであるOSの2年割合はそれぞれ71.8%と51.5%(P=0.010)であり、ニボルマブイピリムマブ併用療法を先行させ、増悪時にダブラフェニブトラメチニブに変更する投与順序が望ましいと結論付けられました。

SECOMBIT試験 11)

 治療歴のないBRAF V600変異を有する進行期メラノーマ209例を対象に、(1)エンコラフェニブビニメチニブで開始し、増悪時にニボルマブイピリムマブ併用療法に切り替えるレジメン、(2)ニボルマブ+イピリムマブ併用療法で開始し、増悪時にエンコラフェニブ+ビニメチニブに切り替えるレジメン、(3)エンコラフェニブビニメチニブを8週投与後に計画的にニボルマブイピリムマブ併用療法に切り替えるレジメン――の3群を比較するランダム化第II相試験が行われました。Primary endpointであるOSの2年割合はそれぞれ65%、73%、69%でした。

私の視点

10年で増えた薬物療法の選択肢と課題

 根治切除不能または転移性メラノーマに対する薬物療法は、長らく有効性の乏しいダカルバジンがみなし標準として用いられてきましたが、近年の分子生物学や腫瘍免疫学の発展により、現在ではニボルマブペムブロリズマブといった抗PD-1抗体ニボルマブ抗CTLA-4抗体であるイピリムマブの併用療法などのICI、BRAF V600変異があればダブラフェニブトラメチニブまたはエンコラフェニブビニメチニブといったBRAF/MEK阻害薬が第一選択薬として用いられています。

 この10年で、メラノーマの薬物療法の選択肢は広がったものの、どの薬剤を第一選択とするか、どういった薬剤の使用順序が勧められるか、といった薬物療法の選択手順に関する明確な指針は存在しません。これまでBRAF変異型メラノーマでは主にBRAF/MEK阻害薬ニボルマブイピリムマブ併用療法、BRAF野生型メラノーマでは主に抗PD-1抗体単独療法とニボルマブ+イピリムマブ併用療法のいずれを選択するか、が焦点となってきました。

BRAF変異型、日本人でのICI先行は妥当か

 BRAF変異型メラノーマについては、DREAMseq試験の結果から、ニボルマブイピリムマブ併用療法を先行させ、増悪時にダブラフェニブトラメチニブに変更する投与順序の方が、その逆の投与順序よりも2年OS割合が優れることが示され、ICIを先行させる方が望ましいという見解になりつつあります10)。その論拠として、ダブラフェニブ+トラメチニブの奏効割合はfirst-lineで43.0%、second-lineで47.8%と大きな違いはないのに対し、ニボルマブイピリムマブ併用療法ではfirst-lineで46.0%、second-lineで29.6%であり、ICIはfirst-lineで用いた方が効果が高いことが挙げられています。

 しかしながら、日本人を対象に行われたONO-4538-17試験では、first-lineで投与されたニボルマブイピリムマブ併用療法の奏効割合は43%と12)、白人を主体としたCheckMate 067試験の58%より低いことから 8), 13)-16)、この結果をそのまま日本人に適用することの妥当性には疑問が残ります。

BRAF/MEK阻害薬、先行投与の臨床効果は

 SECOMBIT試験では、エンコラフェニブビニメチニブを8週間投与後に計画的にニボルマブイピリムマブ併用療法に変更する試験治療群も含まれましたが、観察期間中央値32.2カ月時点ではニボルマブ+イピリムマブ併用療法群と同程度の治療成績で、少なくともBRAF/MEK阻害薬を一定期間先行投与する治療戦略で臨床効果が飛躍的に向上することは期待できなさそうです11)。ただし、この治療戦略の最終的な評価は、SECOMBIT試験の長期成績や、同様の治療戦略を異なる先行投与期間で検証している他の進行中の試験の結果を待つ必要があります。

BRAF野生型、粘膜型へのICI併用の意義は

 BRAF野生型メラノーマについては、CheckMate 067試験のサブグループ解析が重要です。同解析では、ニボルマブ単独療法に対するニボルマブイピリムマブ併用療法のPFSのHRがBRAF変異型では0.68(95% CI 0.46-1.0)であったのに対して、BRAF野生型ではHR:0.92(0.71-1.18)とイピリムマブの上乗せ効果が乏しいことが示唆されています。

 実臨床では、免疫関連有害事象(irAE)が生じた際、長期間のステロイド薬の全身投与に耐えられる全身状態であることを前提に、脳転移がある、腫瘍量が多い、進行が速い、LDH高値、PD-L1発現が低値、病型が粘膜型や末端型――などの場合にニボルマブイピリムマブ併用療法が選択されやすい傾向があります。この中で、アジア人に多い粘膜型について、大規模な国内17)および国際後ろ向き研究が実施されました。後者では粘膜メラノーマ545例において、抗PD-1抗体単独療法とニボルマブイピリムマブ併用療法はPFSとOSのいずれにおいても有意差が見られず、人種による違いも見られませんでした18)

 この結果から、今後は粘膜型というだけで画一的にニボルマブ+イピリムマブ併用療法が選択される機会は減ると予想されます。一方で例数は少ないものの、CheckMate 067試験のサブグループ解析では、粘膜型におけるイピリムマブの上乗せ効果が示唆されています。現時点では、転移巣の部位や腫瘍量、合併症や患者さんの意向などを含め、総合的な観点から個々の患者さんごとに薬剤を選択せざるを得ず、治療効果を的確に予測できるバイオマーカーの開発が望まれます。

ポストICIの併用療法も続々

 今後の展開として、抗PD-1抗体を主体とした併用療法の開発が挙げられます。最も実績があるのはニボルマブイピリムマブ併用療法ですが、イピリムマブの用量が3mg/kgと多いこともあり、irAEの頻度が高く、よりリスクベネフィットバランスに優れた併用療法の開発が望まれています。

 これまで、IDO(Indoleamine 2,3-Dioxygenase)1阻害薬であるepacadostatペムブロリズマブを併用したKEYNOTE-252試験、ダブラフェニブトラメチニブ抗PD-1抗体であるspartalizumabを併用したCOMBI-i試験、腫瘍溶解性ウイルスであるT-VECとペムブロリズマブを併用したMASTERKEY-265試験、pegylated-IL-2製剤であるbempegaldesleukinとニボルマブを併用したPIVOT IO 001試験などの第III相RCTが行われました。いずれも既存の標準治療を上回ることはできませんでした。

 そういった状況の中、抗LAG-3抗体のrelatlimabとニボルマブの固定用量配合剤であるrelatlimab–nivolumab (商品名:Opdualag)を用いたRELATIVITY-047試験では、ニボルマブに対して有意にPFSを延長させ、2022年にFDAとEMAに承認されています9)。また、メラノーマでもVEGFR阻害薬抗PD-1抗体の併用療法の臨床試験が複数行われています。

ワンポイントレクチャー

ICIの臨床効果が低いアジア人の至適レジメンは

 メラノーマへの第一選択薬として、長期生存が期待できるICIが主流になりつつあります。同時にアジア人のメラノーマは白人と比較してICIの臨床効果が乏しいことも示されており、白人主体のデータの解釈には注意が必要です。アジア人でICIの臨床効果が劣る理由として、以前から末端型や粘膜型などの病型が多いことは指摘されていましたが、近年では非末端型の皮膚メラノーマにおいても、アジア人ではICIの臨床効果が低いことが報告されています。その理由として、紫外線の影響を受けにくいスキンタイプであることに起因して、腫瘍細胞における体細胞変異数が白人より少ない可能性が挙げられています19)。一方、日本人のBRAF変異陽性メラノーマに対するBRAF/MEK阻害薬の臨床効果は白人と概ね同等です。

 RELATIVITY-047試験の結果を受け、nivolumab-relatlimabは抗PD-1抗体単独療法に取って替わると考えられますが、今後はニボルマブイピリムマブ併用療法との使い分けが論点になるでしょう。IrAEの観点からは、Grade 3以上のAEがニボルマブ+イピリムマブ併用療法の59%に対して、nivolumab-relatlimabは18.9%と明らかに優れていました。一方で、ニボルマブイピリムマブ併用療法では生存期間中央値が72.1カ月と長期生存が見込めることが示されているのに対し、nivolumab-relatlimabの観察期間はまだ短く、長期成績は報告されていません。なお、わが国はRELATIVITY-047試験に参加しておらず、同薬の国内導入時期などは不明です 。

※参考文献
8) Wolchok JD, Chiarion-Sileni V, Gonzalez R, Grob JJ, Rutkowski P, Lao CD, et al. Long-Term Outcomes With Nivolumab Plus Ipilimumab or Nivolumab Alone Versus Ipilimumab in Patients With Advanced Melanoma. J Clin Oncol. 2022;40(2):127-37.
9) Tawbi HA, Schadendorf D, Lipson EJ, Ascierto PA, Matamala L, Castillo Gutierrez E, et al. Relatlimab and Nivolumab versus Nivolumab in Untreated Advanced Melanoma. N Engl J Med. 2022;386(1):24-34.
10) Atkins MB, Lee SJ, Chmielowski B, Tarhini AA, Cohen GI, Truong TG, et al. Combination Dabrafenib and Trametinib Versus Combination Nivolumab and Ipilimumab for Patients With Advanced BRAF-Mutant Melanoma: The DREAMseq Trial-ECOG-ACRIN EA6134. J Clin Oncol. 2022;0(ja):JCO2201763.
11) Ascierto PA, Mandala M, Ferrucci PF, Guidoboni M, Rutkowski P, Ferraresi V, et al. Sequencing of Ipilimumab Plus Nivolumab and Encorafenib Plus Binimetinib for Untreated BRAF-Mutated Metastatic Melanoma (SECOMBIT): A Randomized, Three-Arm, Open-Label Phase II Trial. J Clin Oncol. 2022:JCO2102961.
12) Namikawa K, Kiyohara Y, Takenouchi T, Uhara H, Uchi H, Yoshikawa S, et al. Efficacy and safety of nivolumab in combination with ipilimumab in Japanese patients with advanced melanoma: An open-label, single-arm, multicentre phase II study. Eur J Cancer. 2018;105:114-26.
13) Larkin J, Chiarion-Sileni V, Gonzalez R, Grob JJ, Cowey CL, Lao CD, et al. Combined Nivolumab and Ipilimumab or Monotherapy in Untreated Melanoma. N Engl J Med. 2015;373(1):23-34.
14) Wolchok JD, Chiarion-Sileni V, Gonzalez R, Rutkowski P, Grob JJ, Cowey CL, et al. Overall Survival with Combined Nivolumab and Ipilimumab in Advanced Melanoma. N Engl J Med. 2017;377(14):1345-56.
15) Hodi FS, Chiarion-Sileni V, Gonzalez R, Grob JJ, Rutkowski P, Cowey CL, et al. Nivolumab plus ipilimumab or nivolumab alone versus ipilimumab alone in advanced melanoma (CheckMate 067): 4-year outcomes of a multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2018;19(11):1480-92.
16) Larkin J, Chiarion-Sileni V, Gonzalez R, Grob JJ, Rutkowski P, Lao CD, et al. Five-Year Survival with Combined Nivolumab and Ipilimumab in Advanced Melanoma. N Engl J Med. 2019;381(16):1535-46.
17) Nakamura Y, Namikawa k., et al. (2021). "Anti-PD-1 antibody monotherapy versus anti-PD-1 plus anti-CTLA-4 combination therapy as first-line immunotherapy in unresectable or metastatic mucosal melanoma: a retrospective, multicenter study of 329 Japanese cases (JMAC study)." ESMO Open 6(6): 100325.
18) Dimitriou F, Namikawa K, Reijers ILM, Buchbinder EI, Soon JA, Zaremba A, et al. Single-agent anti-PD-1 or combined with ipilimumab in patients with mucosal melanoma: an international, retrospective, cohort study. Ann Oncol. 2022;33(9):968-80.
19) Bai X, Shoushtari AN, Betof Warner A, Si L, Tang B, Cui C, et al. Benefit and toxicity of programmed death-1 blockade vary by ethnicity in patients with advanced melanoma: an international multicentre observational study. Br J Dermatol. 2022;187(3):401-10.
20) Luke JJ, Rutkowski P, Queirolo P, Del Vecchio M, Mackiewicz J, Chiarion-Sileni V, et al. Pembrolizumab versus placebo as adjuvant therapy in completely resected stage IIB or IIC melanoma (KEYNOTE-716): a randomised, double-blind, phase 3 trial. Lancet. 2022;399(10336):1718-29.

 

ペリオスチン阻害剤、アトピー性皮膚炎モデルマウスの炎症と痒みを軽減

富山大ほか、研究成果は、「PLOS ONE」にオンライン掲載

 

アトピー性皮膚炎の強い痒みに対する原因は未解決、治療薬が望まれる

 富山大学は1月10日、アトピー性皮膚炎モデルマウス(FADS マウス)を用いて、ペリオスチンが知覚神経に作用して痒みを引き起こし、その阻害剤が痒みを著明に改善することを見出したと発表した。この研究は、同大富山大学学術研究部医学系分子病態検査学講座の北島勲理事・副学長、同大学術研究部薬学・和漢系応用薬理学教室の歌大介准教授、佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野の出原賢治教授、同大医学部分子生命科学講座分子医化学分野の布村聡准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Cell Reports」に掲載されている。

 アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返す痒みの強い湿疹を主な病変とする疾患。ステロイド外用薬、免疫抑制外用薬が長く治療に利用されている。最近は、分子標的薬が登場し、治療が進歩してきている。しかし、アトピー性皮膚炎の強い痒みに対する原因は未解決で、その治療薬が望まれている。アトピー性皮膚炎は強い炎症反応を生じるが、炎症に関わる免疫機能と痒みを感知する神経機能はどのような相互作用があるのか解明することが、痒みの治療薬開発に重要なポイントとなる。

 先行研究により、富山大学医学部の北島理事・副学長らの研究グループは、ヒトのアトピー性皮膚炎に非常によく似た病態(顔面に皮膚炎と強い痒み反応を示す)モデルマウスを開発。佐賀大学医学部の出原教授らの研究グループは、ペリオスチンアトピー性皮膚炎発症に重要な役割を担っていることを発見していた。さらに、富山大学薬学部の歌准教授は、痛みや痒みの神経機能を解析する技術を有していた。今回の研究成果は、3者の共同研究によるものである。

ペリオスチン、病態モデルマウス(FADSマウス)の湿疹増悪/痒み発症に重要

 研究により、まず、FADSマウスにおいて、皮膚炎病巣部位と血液中ペリオスチンが過剰に産生されていることが明らかになった。

 続いて、FADSマウスにペリオスチンを遺伝学的に欠損させたペリオスチン欠損マウスを交配させたFADS;ペリオスチン(-)マウスを作製した。ペリオスチンを有するFADSマウスと比べて明らかにFADS;ペリオスチン(-)マウスは顔の湿疹増悪が改善されていた。皮膚組織においても皮下組織の増生が抑制され、炎症細胞の浸潤も抑制されていた。ペリオスチンは、FADSマウスにおける湿疹の増悪に重要なことが明らかになった。

 FADSマウスは、生後4週目頃より顔の湿疹部位を激しく搔き始め、生後4か月経過しても引っ掻き行動はさらに激しくなる。しかし、ペリオスチン遺伝子を欠損させたFADSマウスFADS;ペリオスチン(-)マウスは、生後4週目では顔の引っ掻き行動は非常に少なく、生後4か月経ても痒みに対する行動は顕著に抑えられていた。痒み反応に対する神経電気信号もペリオスチンを欠損させると抑制されていた。以上の結果より、ペリオスチンは、FADSマウスにおける痒み発症に重要であることがわかった。

ペリオスチン阻害薬CP4715、FADSマウスの炎症と痒みを軽減

 最後に、ペリオスチンの阻害薬(CP4715)をFADSマウス腹腔内に注射。その結果、FADS;ペリオスチン(-)マウスに認められたように顔面湿疹が改善され、引っ掻き行動も改善された。ペリオスチン阻害剤CP4715が、FADSマウスにおける炎症と痒みを軽減することが明らかになった。

特許申請中、アトピー性皮膚炎治療薬として開発推進予定

 今回の研究成果により、研究グループは「アトピー性皮膚炎において2型炎症と異なる炎症反応(NF-κB関連炎症等)はどのようにして起こり、どのようにして制御すればよいか、その手掛かりがペリオスチンにあると考えている」と述べている。

 アトピー性皮膚炎に対するCP4715の効果については現在特許申請中で、今後、CP4715をアトピー性皮膚炎の治療薬として開発を推進予定だという。CP4715については製薬企業が薬剤として開発を進めた化合物。安全性についてはある程度確認済みであり、その情報を活かして開発期間の短縮が可能と思われる、としている。