デルマニアのブログ

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定期的な運動は新型コロナの重症化リスクを低減 18歳以上の成人患者4万8,440人を対象に解析

 運動は、加齢に伴い増加するさまざまな慢性疾患の予防に効果的だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化予防にも有効である可能性が報告された。日常的に身体活動を行っていたCOVID-19患者では、入院や集中治療室(ICU)入室、死亡のリスクが低いことが明らかになったという。米カイザー・パーマネンテ・フォンタナ医療センターのRobert Sallis氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に4月13日掲載された。

 この研究は、2020年1月1日から10月21日の間にCOVID-19の診断を受けた、米カイザー・パーマネンテ南カリフォルニアの18歳以上の成人患者4万8,440人(年齢中央値47歳、女性61.9%)を対象にしたもの。これらの対象者はいずれも、2018年3月19日から2020年3月18日の間の外来受診時に、3回以上にわたり過去2カ月間かそれ以上の間の身体活動量に関する評価を受けていた。Sallis氏らは、対象者の身体活動量を、1)一貫して活動的(いずれの評価でも運動時間が150分/週を超える)、2)一貫して非活動的(いずれの評価でも運動時間が0~10分/週)、3)多少は活動的(運動時間が11~149分/週、または運動時間にばらつきがある)の3群に分類した。

 対象者の中で「常に活動的」「常に非活動的」「多少は活動的」の基準を満たしたのは、それぞれ6.4%、14.4%、79.2%であった。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、身体活動量とCOVID-19アウトカムとの関連を検討した結果、一貫して非活動的だった人は、一貫して活動的だった人に比べて、COVID-19による入院、ICU入室、および死亡のリスクが有意に高いことが明らかになった(オッズ比はそれぞれ、2.26、1.73、2.49)。常に非活動的だった人を、多少は活動的だった人と比べた場合でも、入院、ICU入室、および死亡のリスクは有意に高かった(オッズ比はそれぞれ、1.20、1.10、1.32)。

 こうした結果を受けてSallis氏は、「われわれの研究により、定期的に運動を行っている人では、COVID-19に打ち勝つ可能性が非常に高いことが明らかになった。この結果は、パンデミック中だけでなくパンデミック収束後も、健康的な生活習慣、とりわけ運動が重要であることを明示し、また再認識させるものだ」と述べている。

 論文の共著者である、米カイザー・パーマネンテ南カリフォルニアのDeborah Rohm Young氏は、「この研究で最も驚かされたのは、運動不足とCOVID-19のアウトカム不良との関連の強さだった」と話す。「肥満や喫煙などの因子を考慮しても、運動不足は入院、ICU入室、死亡の大幅なリスク増加に強く関連していた」と付け加えている。

 Sallis氏は、「週5日、1日30分間、適度なペースでウォーキングをするだけでもCOVID-19に対して大きな効果が得られるだろう」と述べている。適度なペースとは、会話はできるが、歌うことはできない程度に息切れするペースのことである。

 

https://bjsm.bmj.com/content/early/2021/04/07/bjsports-2021-104080