デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

アトピー性皮膚炎、皮脂から重症度判定 花王など、あぶらとり紙で採取した顔の皮脂を解析

 花王と皮膚薬大手のマルホ(大阪市北区)は11日、重症例を含む成人のアトピー性皮膚炎(AD)患者から、あぶらとり紙で採取した顔の皮脂を解析し、ADの重症度に応じて変化する分子が皮脂中のRNA(リボ核酸)に含まれることを確認したと発表した。重症例を含むADの状態を非侵襲的かつ精緻にモニタリングできる可能性が示唆された成果といえる。技術を応用することで肌を傷つけることなく、患者一人ひとりに対する最適な治療方法の提供につながることが期待される。

 AD治療では、症状に合わせた処置のために重症度を適切に評価することが重要となる。現在は評価指標の一つとして、血液中の生理活性物質「TARC」の値が使用されている。しかし、採血は採取場所の制限や痛みをともなう。

 また、ADの治療薬投与時にTARCが想定外の数値挙動を示すことがあり、ADの重症度を反映しない場合があることが近年明らかになっていた。そのため、ADの重症度を簡便で正確に把握できる新たな技術が望まれている。