デルマニアのブログ

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中等症~重症の乾癬に経口roflumilastが有効 デンマーク・46例のRCT

 デンマーク・University of CopenhagenのMette Gyldenløve氏らは、中等症~重症の尋常性乾癬の患者46例を対象に、欧米で重症の慢性閉塞性肺疾患COPD)に対する治療薬として用いられるホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬roflumilast経口製剤の有効性と安全性を多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験で検討。その結果、roflumilastの1日1回経口投与は忍容性が高く、プラセボに比べて有意な乾癬症状の改善効果を示したとLancet Reg Health Eur2023; 33: 2782-2783)に発表した。

PASI 75達成率は12週で35%、24週で44%

 PDE4阻害薬roflumilastの経口製剤は、米国では10年以上前に重症COPDに対するファーストインクラスの治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認されており、後発品も登場している。昨年(2022年)には、外用剤(roflumilast 0.3%クリーム)が12歳以上の乾癬患者を対象に治療薬としてFDAの承認を受けた。しかし、乾癬患者における経口roflumilastの有効性と安全性は検討されていなかった。

 今回の試験では、18歳以上で全身療法の適応となる中等症~重症の尋常性乾癬患者46例を登録し、roflumilast 500μgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に1:1でランダムに割り付けて12週間治療した。その後さらに12週間、非盲検下で全例にroflumilast 500μgを1日1回経口投与した。

 解析の結果、主要評価項目とした投与開始後12週時点での乾癬重症度指標(Psoriasis Area and Severity Index;PASI)のベースラインから75%以上の改善(PASI 75)達成率は、プラセボ群の0%(0例)に対しroflumilast群で35%(8例)と有意に高かった(群間差35%ポイント、95%CI 13~57%ポイント、P=0.014)。

 24週時点でのroflumilast群におけるPASI 50、PASI 75、PASI 90、PASI 100達成率はそれぞれ65%(15例)、44%(10例)、22%(5例)、9%(2例)だった。

主な有害事象は一過性の消化管症状

 12週時点の副次評価項目の解析でも、プラセボ群と比べroflumilast群では、ベースラインからのPASI変化量の中央値(-61.7% vs. -3.7%、P=0.014)、医師による皮疹の重症度の総合評価(sPGA)スコアがベースラインから1以上低下した割合(74% vs. 17%、P=0.00011)、皮疹が体表面積に占める割合(BSA)のベースラインからの変化量中央値(-81.8% vs. 6.2%、P=0.024)が有意に大きかった。

 薬剤関連有害事象の発現率は、投与開始後12週までのroflumilast群で87%(20例)、プラセボ群で61%(14例)、非盲検期間で65%(30例)だった。一過性の消化管症状(悪心、腹痛、下痢)、体重減少、食欲減退、頭痛、不眠の発現率が両群で高かった。有害事象による投与中止はroflumilast群が2例、プラセボ群が1例だった。

 以上を踏まえ、Gyldenløve氏らは「経口roflumilast 500μgの1日1回投与は、中等症~重症の尋常性乾癬に対し有効であることが示された」と結論。さらに、「乾癬の全身療法に用いられるメトトレキサートと比べ、経口roflumilastには禁酒が不要、禁忌が少ない、血液検査によるモニタリングが不要という重要な利点がある」と指摘し、「経口roflumilastは後発品もあり、既存の全身療法薬に代わる低費用で利便性の高い乾癬治療薬になる可能性がある」と期待を示している。