デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

アトピーの掻痒を抑える抗体医薬、自己注射が可能に

 2023年6月1日より、抗IL-31受容体抗体ネモリズマブ(商品名ミチーガ)が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤となり、保険診療下での在宅自己注射が可能になった。同薬はアトピー性皮膚炎に伴う掻痒に対する初の抗体医薬で、2022年8月に発売された(関連記事:アトピーの“かゆみ”を抗体医薬で狙い撃ち)。

 アトピー性皮膚炎の掻痒はサイトカインであるIL-31が誘発することが知られている。同薬はこのIL-31に着目したヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体で、IL-31受容体Aに結合し、そのシグナル伝達を阻害することで掻痒を抑制する。適応は「アトピー性皮膚炎に伴う掻痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)」で、13歳以上に使用可能。4週に1回の皮下注射製剤で、薬価は1筒11万7181円となっている。

 現在、アトピー性皮膚炎に用いられる抗体医薬は、同薬と抗IL-4/13受容体抗体デュピルマブ(デュピクセント)の2剤。先に発売されたデュピルマブは既に在宅自己注射が可能であり、シリンジ製剤に加えペン型製剤も販売されている。ネモリズマブはシリンジ製剤のみではあるが、今回在宅自己注射が可能になったことで、通院にかかる負担が軽減すると期待される。