デルマニアのブログ

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アトピー性皮膚炎は片頭痛の新規発症のリスク因子か 韓国の研究より

 成人のアトピー性皮膚炎(AD)患者では、片頭痛を新たに発症するリスクが有意に高いという研究結果が、「Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology」2月号にリサーチレターとして掲載された。

 カトリック大学校(韓国)のJi Hae Lee氏らは、韓国国民健康保険公団(NHIS)の支払い請求に関するデータベースを用いて、2009年に、全国一斉健診を受けた韓国の成人353万9468人を特定し、ADが片頭痛の新規発症リスクに及ぼす影響を検討した。

 研究対象のうち、4万8983人(1.5%)がADと診断され、中央値7.6年の追跡期間中に、44万9484人が片頭痛を新たに発症していた。多変量Cox比例ハザード回帰分析の結果、片頭痛の新規累積発症率は1000人年当たり21.8で、非AD患者の16.5に比べて有意に高かった〔ハザード比(HR)は1.26(95%CI:1.23-1.29)〕。年齢、性別で調整後のADの重症度別検討からは、片頭痛の新規発症リスクは、軽度患者に比べて中等度~重度患者でわずかに高かった(それぞれHR:1.25、95%CI:1.21-1.29、および同1.26、1.23-1.30)。AD患者では、喫煙と男性が、片頭痛の新規発症リスクの上昇と有意に関連していた。また、睡眠障害脳卒中が併存する場合、片頭痛リスクは相乗的に上昇していた。

 著者らは、「今後の研究により、ADの適切な管理と片頭痛の新規発症リスク低減との関連を明らかにすることが必要である」と述べている。

 

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jdv.18680