デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

アトピー患者ではメラノーマの発症リスクが低下 非アトピー患者と比較してメラノーマの症例数が少なく、推定される皮膚がんリスク分類が低い

 アトピーはメラノーマ発症リスクの低下と関連しているとの研究結果が、「Melanoma Research」6月号に掲載された。

 東フィンランド大学(フィンランド)のJenni Komulainen氏らは、あらゆる種類の皮膚がんリスクがある成人の対象者(男性250人、女性246人、うち免疫抑制患者94人)において、過去または現在のアトピー性疾患が皮膚の光傷害、色素細胞母斑、皮膚がんと関連しているかどうかを検討した。

 解析の結果、アトピーと光傷害、ケラチノサイトがん、母斑数との間には関連性は認められなかった。一方、アトピー患者(171人)では非アトピー患者(325人)と比較して、メラノーマが少なく(14.6%対22.2%)、推定された皮膚がんリスク分類も低かった。アトピー患者におけるメラノーマの多変量オッズ比は0.583であったが、免疫正常群では、こうしたリスク低下は粘膜のアトピー性疾患に限定されていた(オッズ比0.417)。真皮外部位の悪性腫瘍が認められたアトピー患者は非アトピー患者より少なかった(8.8%対15.7%)。血清総免疫グロブリンE(IgE)は、皮膚がん、光傷害、母斑、真皮外部位の悪性腫瘍とは関連していなかった。

 共著者の1人は「最新の理論では、皮膚には発がん物質やがんにつながる皮膚の損傷を防ぐことができる、自然発生する自己反応性IgE応答があるとされる。この理論は妥当だと言える。なぜなら、アトピー性疾患は通常、IgEを介したアレルギーを伴うため、防御機構はアトピー性疾患を有する皮膚においてさらに顕著になる可能性があるからだ」と述べている。