アトピー性皮膚炎/尋常性乾癬における外用PDE4阻害薬の有効性を検討
本論文では、アトピー性皮膚炎(70例、女性52.9%)と尋常性乾癬(34例、男性58.8%)の患者を対象に、外用PDE4阻害薬の有効性および安全性を第2a相二重盲検無作為化試験で検討している。軽症ないし中等症のアトピー性皮膚炎(体表面積の5-20%)または尋常性乾癬(体表面積の5-15%)を有する18-70歳の患者を対象に、PDE4阻害薬を含む製剤と含まない製剤(コントロール)で比較した。主要評価項目は、アトピー性皮膚炎の症状と面積を評価するEASI総スコアおよび乾癬の症状と面積、部位を評価するPASIスコアのベースラインから6週時点までの変化率(CFB)とした。
結果として、6週時点で、PDE4阻害薬群ではコントロール群に比べEASI(最小二乗平均CFB:-74.9% vs. -35.5%、差-39.4%、90%CI -58.8~-20.1、P<0.001)およびPASI(CFB:-4.8 vs. 0.1、差-4.9、同-7.0~-2.8、P<0.001)スコアが有意に改善した。試験治療下の有害事象の発現率は、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬ともに、コントロール群と比較して同程度であり、有意な副作用は認められなかった。
PDE4阻害薬は、炎症細胞内のサイクリックAMP (cAMP)を上昇させることで炎症性遺伝子発現を抑制し、抗炎症性遺伝子発現を促進する。既に日本ではジファミラストが発売されており、今回の論文でも外用PDF4阻害薬の有効性と安全性が報告された。
日常臨床への生かし方
アトピー性皮膚炎のアレルギー炎症を抑える外用薬は、ステロイド外用薬が中心である。ステロイド外用薬を適切に使用すれば、副作用を少なくして炎症を抑えることができる。しかし、ステロイド外用薬は免疫細胞以外に皮膚の細胞などにも作用することから、皮膚の菲薄化や毛細血管の拡張などが問題となる。その意味で、PDE4阻害薬の外用薬の出現およびその外用薬の種類が増えてくることで、アトピー性皮膚炎治療の選択肢が増え、部位別の塗布も可能になってくると考えられる。