デルマニアのブログ

デルマニアのブログ

とある皮膚科医のブログです。

HPVワクチンには子宮頸がん以外のがんを予防する効果もある

HPV Vaccine Offers Cancer Protection Beyond Cervical Cancer

Megan Brooks / Medscape 2024/5/31

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、子宮頸がん、頭頸部がんなど、HPV感染や一般的にHPVに起因するがんを予防する効果的な方法であることが、新たな研究で示された。

6月1日の米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)での発表に先立ち、5月23日に行われたプレスブリーフィングで紹介されたこの分析では、HPVワクチンを接種済みの男性は頭頸部がんのリスクが56%と著しく低いことが明らかになった。

「HPVワクチンを接種することで、HPV感染を予防できることはかなり以前からわかっていたが、重要なのはがん、主に子宮頸がんの発生を予防できるということだ」と、ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンター(フィラデルフィア)のLynn Schuchter氏は話している。「これは、HPVワクチンの効果に関する情報を伝えるうえで、非常に重要な研究だ」。

主任治験責任医師であり、トーマス・ジェファーソン大学(フィラデルフィア)研究員であるJefferson DeKloe氏らは、米国のTriNetXデータベースを使用し、HPVワクチン接種済みの男性および未接種の男性76万540例と、HPVワクチン接種済みの女性および未接種の女性94万5,999例のマッチングコホートを作成した。

HPVワクチンを接種済みの男性は、未接種の男性と比較して、すべてのHPV関連がんのリスクが54%低く(オッズ比[OR]:0.46、p<0.001)、頭頸部がんのリスクは56%低かった(OR:0.44、p<0.001)。肛門がんおよび陰茎がんについては、症例数が不十分で分析できなかった。

HPVワクチンを接種済みの女性は、HPV関連がん全体のリスクが27%低く(OR:0.73、p<0.05)、子宮頸がんのリスクが54%低く(OR:0.46、p<0.05)、頭頸部がんのリスクが33%低かったが、この結果はHPVワクチン未接種の女性と比較して有意ではなかった(OR:0.67、95%CI:0.42~1.08)。肛門がんの症例数は不十分だったため、分析できなかった。外陰がんや膣がんの発生率については、HPVワクチン接種済みの女性と未接種の女性との間で有意差は見られなかった。

しかし、ワクチン接種済みの女性は、ワクチン未接種の女性よりも、高悪性度扁平上皮内病変(OR:0.44)、上皮内がん(OR:0.42)、子宮頸がん細胞診の異常(OR:0.87)の割合が低く、円錐切除術およびループ電気外科切除術を受ける割合も低かった(OR:0.45)。

「本研究は、HPVワクチン接種の重要性を真に強調するものである」とSchuchter氏は会見で述べている。

「HPVワクチン接種はがん予防になる」とダナ・ファーバーがん研究所(ボストン)のGlenn Hanna氏はASCOの声明で述べた。

それでもなお、米国におけるHPVワクチン接種率は比較的低いままだ。米国国立がん研究所によると、2022年に、推奨どおりHPVワクチン接種を2回または3回受けた13~15歳の青少年は58%程度しかいなかった。

Schuchter氏は会見で、「目指すところは、より若い男女がHPV感染症の発生を予防するためにワクチン接種を受けることである。それによってがんのリスクは低減するはずであり、事実、そのとおりになっている」と述べた。

DeKloe氏もこれに同意し、ワクチン接種率向上の重要性を強調した。「HPVワクチン接種率を高める効果的な介入を特定することは、米国における過大ながん負担を軽減するうえできわめて重要だ」とDeKloeは声明で語っている。

The study had no funding source. DeKloe had no relevant disclosures. Hanna has disclosed relationships with Bicara Therapeutics, Bristol Myers Squibb, Coherus BioSciences, and others. Schuchter had no relevant disclosures.

Medscape Medical News © 2024 WebMD, LLC

Cite this: HPV Vaccine Offers Cancer Protection Beyond Cervical Cancer - Medscape - May 31, 2024.

 

www.medscape.com