デルマニアのブログ

デルマニアのブログ

とある皮膚科医のブログです。

梅毒治療薬・ステルイズ水性懸濁筋注を発売 ファイザー

 ファイザーは1月26日、梅毒治療薬ステルイズ水性懸濁筋注60万単位シリンジ、同240万単位シリンジ(一般名:ベンジルペニシリンベンザチン水和物)を発売した。適応症は「梅毒(神経梅毒を除く)」。薬価は60万単位1筒3207円、240万単位1筒9273円。

 持続性ペニシリン製剤で、細菌細胞壁ペプチドグリカンの合成を阻害することで抗菌活性を示すと考えられている。有効成分のベンジルペニシリンベンザチン水和物は溶解性が低く、投与部位から緩徐に放出される特徴から、同剤は1回の筋肉内投与で有効濃度が持続する。

 同剤は、▽早期梅毒に対して単回投与で治療効果が期待できること、▽アドヒアランスの低下による治療失敗は考え難いこと、▽海外で梅毒患者の治療に貢献してきた実績があること、▽これまで耐性菌の報告がないこと――などから、日本感染症教育研究会から開発要望が出され、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受けて、同省からファイザーに開発要請されたもの。

日本感染症学会梅毒委員会 第一選択薬のアモキシシリン内服製剤と「同等の位置づけ」

 日本感染症学会梅毒委員会は2021年11月に、同剤について、「神経梅毒を除く活動性梅毒の治療薬として、本剤を従来の第一選択薬であるアモキシシリン内服製剤と同等の位置づけとする」、「早期梅毒(感染から1年未満の活動性梅毒)と後期梅毒(感染から1年以上を経た活動性梅毒)で注射回数が異なることに注意する。特に、梅毒の症候型(第1期梅毒や第2期梅毒、潜伏梅毒など)で区別するのではないことを理解されたい」など使用にあたっての留意点をまとめている。