デルマニアのブログ

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甘い飲み物でがん死リスク上昇の可能性 人工甘味料入り飲料も有意

 甘い飲み物を過剰に摂取すると、がんによる死亡が増える可能性を示唆するデータが報告された。米国がん協会ACS)のMarjorie McCullough氏らの研究によるもので、詳細は「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」10月号に掲載された。論文の筆頭著者であるMcCullough氏は、「残念ながら、米国人は食事ガイドラインで推奨されている砂糖摂取量の上限を超えて摂取している。また、加糖飲料は体重増加や肥満のリスク因子として知られている」と語っている。

 McCullough氏らは、がん予防に関する前向き研究(cancer prevention study-II;CPS-II)のデータを用いて、加糖飲料(sugar-sweetened beverage;SSB)および人工甘味料入り飲料(artificially-sweetened beverage;ASB)の摂取量と、がん死との関連を検討。1982年にSSBとASBの摂取量が調査されていた、がん既往歴のないCPS-II参加者93万4,777人を対象として、2016年までがん死の発生を追跡。がん死については、全てのがんによる死亡と、肥満が関連しているがんによる死亡、および20種類の個別のがんによる死亡について検討した。SSBやASBの摂取量とがん死の関連は多変量Cox比例ハザードモデルにより解析し、調整因子にBMIを加えた場合と加えない場合の2通りの検討を行った。

 追跡調査中に13万5,093人が、がんのために死亡した。SSBを1日に2回以上飲む人の全がん死リスクは、SSBを全く飲まない人と有意差がないものの、肥満関連がんによる死亡リスクは有意に高かった〔ハザード比(HR)1.05(95%信頼区間1.01~1.08)〕。この関係は、調整因子にBMIを加えた場合には非有意となった。ただし、大腸がん〔HR1.09(同1.02~1.17)〕と腎臓がん〔HR1.17(1.03~1.34)〕による死亡リスクについては、調整因子にBMIを加えた後にも有意な関連が維持されていた。

 ASBについても同様に、BMI未調整では、摂取量と肥満関連がんによる死亡リスクとの間に有意な関連が認められ〔HR1.05(同1.01~1.08)〕、BMIを調整因子に加えると非有意となった。ただし、膵臓がんによる死亡リスクについては、調整因子にBMIを加えた後にも有意な関連が維持されていた〔HR1.11(同1.02~1.20)〕。

 McCullough氏はACS発のリリースの中で、「われわれの研究結果は、米国成人のがんリスク抑制を目的とする加糖飲料の摂取削減に関する公共政策立案に、有用な情報となるだろう。今後の研究では、加糖飲料とがんリスクとの関連に、BMIがどのような影響を与えているのかを明確にする必要がある」と述べている。また、人工甘味料は一般に安全と考えられているが、米国では人工甘味料の使用量が増加しているため、これらへの曝露とヒトのがんリスクとの関連の有無は、「依然として興味深い」としている。

 なお、HealthDayは、米国の清涼飲料の業界団体である米国飲料協会(American Beverage Association)に対して、本研究発表に関するコメントを求めたが、回答を得られていない。

 

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