デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

汗管腫とは?

汗管腫syringomaは、エクリン汗腺が真皮内で肥大した良性の皮膚腫瘍で、1-4mm位の大きさで、正常な皮膚の色をして平らに盛り上がっています。思春期以降の女性に多く、まぶた周囲や額部に後発しますので美容上の意味を持ちます。
良性腫瘍なので基本的には、患者さんのQOL低下などの希望により治療となります。一般的には、局所麻酔下で切除します。細いナイロン糸で丁寧に縫合を行います。手術後24時間ガーゼによる圧迫をして、以降は患者さん自身でガーゼ交換を行なってもらい、術後5-7日前後で抜糸です。
炭酸ガスレーザーなどで削り取る方法もありますが、結構傷跡が残ったり再発することもあります。また下まぶたの集合した汗管腫は、まぶたに沿って一気に切り取る先生もおられますが、この方法も傷跡が残る場合があります。

汗管腫とよく似たものに、汗嚢腫hidrocystomaがあります。これは、顔面の、特に目の周りに多発することが多く、大きさが2-3mmの半透明の隆起で、夏(6-9月)の汗が多くなる時期には顕著化し、冬の涼しい時期にはほとんど自然に消失してしまいます。
実際には汗の貯留によって真皮内のエクリン汗管が拡張・嚢腫化したもので、本当の腫瘍ではありません。放置して構わないのですが、美容上の観点から外科的治療を行う場合もあります。また発汗の制御という意味で、塩化アルミニウム溶液外用やグリコピロニウムトシル酸塩水和物外用が有効な症例もあります。後者は、ラピフォートワイプという商品名で原発腋窩多汗症には日常的に使っております。
汗嚢腫に対する保険適用の外用剤の登場が待たれます。