デルマニアのブログ

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JAK阻害薬アブロシチニブを承認申請 アトピー性皮膚炎治療薬として ファイザー

 ファイザーは12月9日、アトピー性皮膚炎の治療薬として経口JAK阻害薬アブロシチニブ(一般名)を日本で承認申請したと発表した。承認された場合、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療選択肢となる見込み。米国と欧州でも10月に承認申請され、米国ではブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)指定を受け、優先審査品目に指定されている。

 アブロシチニブは選択的にヤヌスキナーゼ(JAK)1を阻害する低分子化合物。JAK1が阻害されることにより、病態生理学的にアトピー性皮膚炎に関与するとされるインターロイキン(IL)-4、IL-13、IL-31、IL-22、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を含む複数のサイトカイン・シグナルが抑制されると考えられている。

 今回の国内申請は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同第3相試験(JADE MONO-1/ MONO-2 / COMPARE / TEEN / EXTEND)の結果などに基づくもの。アブロシチニブ投与群はプラセボ投与群と比較して、アトピー性皮膚炎の徴候、症状、皮膚病変の範囲、重症度に関して良好な改善結果を示し、早期のかゆみの改善効果を示したという。アブロシチニブを単剤投与または外用剤と併用投与したときの忍容性は良好で、アトピー性皮膚炎患者における使用を支持する安全性プロファイルが示されたとしている。

 日本で、アトピー性皮膚炎に対するJAK阻害薬は、外用剤のコレクチム軟膏(一般名:デルゴシチニブ、製造販売元:日本たばこ産業)が「アトピー性皮膚炎」を効能・効果に上市されている。

 経口JAK阻害薬としては、オルミエント錠(同バリシチニブ、日本イーライリリー)が「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果として、12月4日の薬食審・医薬品第二部会で承認することが了承されたばかり。早ければ年内に正式承認されるとみられ、アトピーに対する初の経口JAK阻害薬が登場する。また、リンヴォック錠(ウパダシチニブ、アッヴィ)も10月にアトピー性皮膚炎を対象疾患に申請中で、2021年はアトピー性皮膚炎市場への経口JAK阻害薬の参入が相次ぐ見込みだ。

 

コメント:

オルミエントのアトピー性皮膚炎の適応追加は早ければ年内となりそうです。
2021年は、アトピーに対するJAKの戦国時代となりそうですね。