デルマニアのブログ

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とある皮膚科医のブログです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

「サル痘」国内では今年に入り感染者増 WHO「緊急事態」終了

世界保健機関(WHO)が11日、欧米を中心に患者が相次いだエムポックス(サル痘)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表した。 「エムポックスがもはや『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』ではないと宣言することをうれしく…

新規経口JAK/SYK阻害薬で慢性手湿疹が改善 Gusacitinibの第Ⅱ相試験

米・Asana BioSciences社のPablo A. Jimenez氏らは、中等症~重症の慢性手湿疹患者97例を対象に、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)/脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害薬gusacitinibの有効性と安全性を第Ⅱ相多施設共同プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験(RCT…

帯状疱疹は心血管疾患リスクの上昇と関連 帯状疱疹の既往のない人と比較して脳卒中や冠動脈性心疾患の長期リスク高

帯状疱疹は心血管イベントの長期リスクの上昇と関連しているとの研究結果が「Journal of the American Heart Association(JAHA)」12月6日号に掲載された。 米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のSharon G. Curhan氏らは、Nurses' Health Study(NHS)に登…

サル痘、重症/ハイリスク例にはテコビリマット投与を検討

2022年5月以降、感染報告が続いているサル痘(エムポックス )。欧米では感染報告が落ち着いてきている一方、日本では2023年に入り感染報告数が急増しています。2022年には8例の報告にとどまっていた感染報告数が2023年4月7日時点で計96例の報告数となってお…

円形脱毛症の経口薬ritlecitinib、有効性と忍容性良好

12歳以上の円形脱毛症(頭皮の50%以上脱毛)患者718例を対象に、経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬ritlecitinibの有効性と安全性を、18カ国118施設での第IIb-III相無作為化二重盲検試験で検討。主要評価項目は、24週時の脱毛症重症度評価ツール(Severi…

中等症~重症円形脱毛症、ritlecitinibで改善/Lancet

経口ヤヌスキナーゼ(JAK)3/TECファミリーキナーゼ阻害薬ritlecitinibは、12歳以上の円形脱毛症患者に有効で忍容性も良好であることを、米国・イェール大学のBrett King氏らが、日本を含む18ヵ国118施設で行われた第IIb/III相無作為化二重盲検プラセボ対照…

ワクチン接種者はコロナ後遺症リスクが4割以上低い可能性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期以降にさまざまな症状が遷延する、「コロナ後遺症」と呼ばれる状態(post-COVID-19 condition;PCC)のリスクに関連する因子が報告された。女性や喫煙者、急性期に入院を要した人などはリスクが高く、反対にワ…

アトピーのルキソリチニブクリーム頓用が有益

アトピー性皮膚炎に対するルキソリチニブ(RUX)クリームの安全性と有効性を示した二重盲検第III相試験2件(NCT03745638およびNCT03745651)のデータを用いて、RUXクリーム頓用の長期安全性と効果を評価。参加者をRUXクリーム0.75%、1.5%、基剤に割り付け…

アトピーの早期積極治療で卵アレルギー予防 二重抗原曝露仮説を実証

乳児期に発症したアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーの発症リスクを高めるとされる。国立成育医療研究センターアレルギーセンターセンター長の大矢幸弘氏らは、アトピー性皮膚炎への早期積極治療による食物アレルギー発症予防効果を検討する多施設共同評価…

重度の円形脱毛症、MTX+低用量ステロイドで毛髪再生

フランス・ルーアン大学病院およびフランス国立衛生医学研究所(INSERM)U1234のPascal Joly氏らは、円形脱毛症(AA)のうち重度とされる全頭型AAまたは汎発型AA患者を対象に、メトトレキサート(MTX)単剤とプラセボの比較、MTX単剤とMTX+低用量prednisone…

デュピクセントで「特発性の慢性蕁麻疹」の効能追加を一変申請 サノフィ

サノフィは3月31日、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセントについて、特発性の慢性蕁麻疹(CSU)の効能追加を一変申請したと発表した。CSUの治療には抗ヒスタミン薬が用いられるが、症状のコントロールが得られない患者は多く、他の…

アルツハイマー病の薬が抜毛症と皮膚むしり症の症状を軽減か

アルツハイマー型認知症の治療薬として長年にわたり使用されているメマンチンが、抜毛症や皮膚むしり症の症状の軽減に役立つ可能性が、米シカゴ大学精神科学・行動神経科学教授のJon Grant氏らが実施した臨床試験で示された。同試験では、メマンチンが投与さ…

GLP-1受容体薬ウゴービ、肥満症で承認

ノボ ノルディスクファーマは本日(3月27日)、GLP-1受容体作動薬セマグルチド(商品名ウゴービ皮下注)が肥満症を適応として製造販売承認を取得したと発表した。 週1回の投与で空腹感を軽減、満腹感を高めることにより、体重減少を促す(関連記事:「解説・…

幹線道路の近くに住むとアトピー性皮膚炎のリスクが上昇か

幹線道路からどの程度離れた場所に住んでいるかがアトピー性皮膚炎のリスクに関係することが、米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスのMichael Nevid氏らの研究で示唆された。住んでいる場所が幹線道路から遠く離れている人では、アトピー性皮膚炎を発症する…

GIP・GLP-1受容体の同時刺激、なぜ矛盾しない?

グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)の2つの受容体に作用する初の薬剤で、2022年9月に承認されたGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名マンジャロ)。GLP-1受容体作動薬の“進化形”として関心を集め…

治療標的としてのTYK2は有効? 中国・メンデルランダム化解析とシステマチックレビュー

中国・Zhejiang University School of MedicineのShuai Yuan氏らは、治療標的としてのチロシンキナーゼ(TYK)2の有用性をメンデルランダム化(MR)解析や臨床試験のシステマチックレビューで探索、その成果をEBioMedicine(2023; 89: 104488)に報告した。 …

コロナ罹患2年後も39%に間質性肺異常陰影

2020年1月15日-3月10日の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院からの退院患者144例(年齢中央値60歳、男性79例)を対象に、胸部CT異常所見および肺機能の縦断的変化を前向き試験で検討。症状発症から6カ月後、12カ月後および2年後に検査を実施し…

虚血性脳卒中の治療を受けたCOVID-19患者は頭蓋内出血率が高い ポルトガルの研究

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した急性虚血性脳卒中患者は、血行再建治療後に頭蓋内出血を合併する率の高いことが、「Neurology」に11月9日報告された。 エガス・モニス病院(ポルトガル)のJoão Pedro Marto氏らは、2020年3月から2021年6月の…

黒色腫、術前+術後のペムブロリズマブで転帰改善

切除可能な病期III-IV期の悪性黒色腫患者を対象に、ペムブロリズマブの術前および術後投与と術後投与単独の無事象生存に対する効果を第II相試験で比較。主要評価項目は、ITT集団での無事象生存とした。 その結果、追跡期間中央値14.7カ月時点で、術前・術後…

アトピー性皮膚炎および湿疹の発症と、「生後6か月を過ごした季節」に関連 富山大ほか、研究成果は「BMC Pediatrics」に掲載

生後1歳までのアトピー性皮膚炎と湿疹について検討 富山大学は3月2日、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者を対象に、生まれた季節と乳児期に発症する湿疹およびアトピー性皮膚炎の関連を調査し、春生まれと比較して、「秋生ま…

疾患活動性SLE、バリシチニブ4mgのSRI-4達成率良好 Lancet

18歳以上の疾患活動性のある全身性エリテマトーデス(SLE)患者760例を対象に、バリシチニブの有効性および安全性を第III相無作為化プラセボ対照試験で検討(SLE-BRAVE-I試験)。主要評価項目は、プラセボ群と比較したバリシチニブ4mg群の52週時点のSLE Resp…

久光製薬の原発性手掌多汗症治療薬・アポハイドローションなど8製品承認へ 薬食審・第一部会で了承

厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は3月3日、久光製薬の原発性手掌(しゅしょう)多汗症治療薬・アポハイドローションや、Swedish Orphan Biovitrum Japan(以下「Sobi」)の発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・エムパベリ皮下注など8製品の承認の可否…

トラネキサム酸の肝斑への効果

RCTなどはなく、エビデンスは乏しいですが、以下のような論文があります。 トランサミン8-12週投与前後で、MASI(Melasma Area and Severity Index)が有意に減少 SMD -1.78(95%CI -2.08 to -1.49)。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov (function(b,c,f,g,a,d,e){b.Mosh…

デュピルマブ、紅皮症性アトピー性皮膚炎にも有効

紅皮症性アトピー性皮膚炎(AD)は、広範な皮膚病変によって定義され、合併症を引き起こし、場合によっては入院に至る重症ADである。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らは、デュピルマブの有効性と安全性を検討した6つの無作為化比較試験の事後…

アトピー性皮膚炎にlebrikizumab+外用ステロイドが有効

中等症ないし重症のアトピー性皮膚炎(AD)の思春期児および成人患者211例を対象に、抗IL-13抗体lebrikizumab(LEB)とステロイド外用薬(TCS)併用の有効性および安全性を16週間の無作為化二重盲検プラセボ(PBO)対照多施設共同第III相臨床試験で検討(Adh…

減量で大事なのは食事を取るタイミングではなく頻度と量

減量をする上で最も重要なのは、いつ食べるかではなく、食べる頻度と量であることが、約550人の成人の食生活を6カ月にわたって調査した新たな研究から明らかになった。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のWendy Bennett氏らによるこの研究は、「Journal of t…

中等症~重症の化膿性汗腺炎、セクキヌマブ2週に1回投与が有効/Lancet

中等症~重症の化膿性汗腺炎患者において、セクキヌマブの2週ごとの投与は安全性プロファイルが良好で、化膿性汗腺炎を速やかに改善し、投与52週後まで有効性が維持されることが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAlexa B. Kimba…

デュピルマブはアレルギー性鼻炎の症状改善に有効か

本論文に着目した理由 鼻科領域の慢性炎症性疾患の代表として、アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎が挙げられる。アレルギー性鼻炎はIgE抗体産生に基づくI型アレルギー疾患であり、抗IgE抗体薬であるオマリズマブが、既存治療でもコントロールができない季節性…

アトピー性皮膚炎、抗IL-13抗体薬のステロイドへの上乗せは有用か?

中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の青少年・成人患者において、インターロイキン13(IL-13)をターゲットとする高親和性モノクローナル抗体lebrikizumab(LEB)と局所コルチコステロイド(TCS)の併用は、TCS単独と比べてアウトカムの改善が認められた。…

がん光免疫療法、症例数が伸び悩む一方で光明も

臨床応用が始まる前から、「次世代のがん治療」として米国のバラク・オバマ大統領(当時)が一般教書演説で取り上げるなど、大きな期待を集めてきたがん光免疫療法(近赤外線免疫療法、アルミノックス治療とも)。2020年9月に世界に先駆けて日本で薬事承認を…